デサント
新中期経営計画を策定
日本は売り上げより収益を重視
デサント(小関秀一社長)は、2021―23年度までの3カ年を対象とする新しい中期経営計画「D―Summit2023」を策定。概要については5月14日、オンラインを通じて小関社長が次のように説明を行った。
前中計の「D―Summit2021」については19、20年の2年間で国内外の経営改革を断行。韓国の不買運動、コロナ等いろんな問題があったが、改善ができたかと思う。数字的には非常に苦労した2年間ではあったが、その中で経営改革がかなり進んだ。19年3月期以前の状況は中国も一部利益があったものの、韓国が大半を占め、日本、アメリカ、ヨーロッパが足を引っ張る状況。経営資源を日本、中国、韓国の3本柱を標ぼうし、今期からこの形で経営していこうと思っている。
経営資源の集中では、長期にわたり赤字であった欧米子会社を清算・株式譲渡を行った。売り上げが伸び悩み、損益はずっと7~8億円近い損失を営業利益で出しており、今後も中々難しいという判断で清算した。
中国ビジネス再編は前期、20年度期で完了したが、非常に順調で売り上げが223億円まで伸び、当期純利益は33億円の利益を出した。そうした中、追加出資により持分法による取込損益が30%から40%に増加。デサントブランドの商標権をジョイントベンチャーが保有することで、中国でビジネスを拡大するという体制が整った。
ブランドにおいては経営資源集中のため整理を行い、14ブランドを9ブランドに集約。これらのことから後は実行に移す段階ということもあり、3カ年計画を立てていたD―Summit2021を一年前倒しで終了し、今期から新中計へ移行し3カ年計画を推進することとした。
新中計では、日本事業の構造改革を確実に行っていく。構造改革の概要としてはDTC事業の強化、売り上げではなく収益を重視する経営指標の明確化、基幹システムの刷新、〝Pay for performance〟の仕組みを大きく変え、人事管理を行っていく。今後は消費者のニーズにこたえるモノづくりの実践、生産量コントロールによる返品・値引きの抑制、在庫・販管費のさらなる削減を行っていく。単に売り上げを伸ばすということでずっと行ってきたが、この方向を大きく変えて収益を重視し、売り上げは追わない。中国事業の成長ポテンシャルでは連結売上高比で約30%まで現地売上高がきており、日本、韓国に次ぐ第3の柱として確立できてきている。重点戦略の中の一つは日本、韓国、中国の地域別戦略の実行。日本は収益性の向上を目指す。改革がようやくスタートした段階だが、これを確実に行っていく方向が明確に決まった。韓国は安定成長で回復しつつあるため、今期からまた経営に貢献してくれると思っている。中国は規模がますます拡大するとみており、デサントブランドで現地売上高500億円を目指す。日本における収益改善ではDTC事業の国内売り上げ構成比50%をこの3年間で目指したい(直営店30%、EC20%)。デサントブランドのプロパー直営店出店は今年4月にDESCENTE横浜、DESCENTE富士見、DESCENTEコクーンシティーの3店舗をオープンし、順調に推移している。DESCENTEコクーンシティーは今までにない店舗、デサントブランドとは全く違うスポーツを全面に出したショップで、今後拡大していきたいと考えている。
モノづくりの強化ではスポーツウエア開発で培った技術を活用して生み出す、着用シーンをスポーツに限定しない動くためのウエア〝MoveWear〟を消費者に訴え、4月にオープンした3店舗でもMoveWearの分野を今後大きくしていこうと考えている。加えて韓国(シューズ)と日本(アパレル)に持っている研究開発拠点・DISCはビジネスに結び付けられるようになりつつあり、収益に貢献する形にしたい。韓国のシューズ開発を日本に持ち込んで売っていきたいとも思っている。弊社には5つのアパレルの自社工場(日本に4社、中国に1社)があるのでこれをもっと消費者ニーズにこたえるモノづくりを行っていきたい。水沢工場は非常に順調に継続している。この水沢工場のノウハウ、やり方をほかの工場にもつなげていきたい。
定量目標は、デサントブランドを主軸に増収を見込み売上高1030億円。中国事業の拡大によりバランスの良い収益体制を実現ということで、現地の売上高ベースで中国持分法適用会社5社の売り上げを計算して入れたもので日本480億円、韓国515億円、中国490億円。経常利益も日本、韓国が15億円、中国13億円、合計43億円と3つのマーケットがバランスよく稼げる体質のスタートができそうだと思っている。特に中国の持分取込ができるようになり、経常利益43億円を目指せるようになった。特別利益なしで30億円の当期純利益を目指す。配当は3期ぶりに復配を計画している。