2021年7月5日

日本ミシュランタイヤ
群馬に積層造形プラットフォーム

産官学連携でイノベ創出・拡大

日本ミシュランタイヤ(須藤元社長)は、群馬県の製造企業を中心とするグループ、日本貿易振興機構(ジェトロ)群馬貿易情報センター、群馬県および前橋市や太田市、群馬大学などと連携し、金属積層造形(金属3Dプリンティング)技術と人材育成によって、群馬県からさらなるイノベーションの創出・拡大およびビジネスの活性化を目指し、次世代イノベーションを担うオープンプラットフォームとなる「群馬積層造形プラットフォーム」を設立することを発表。6月25日に群馬県前橋市の群馬県庁とオンラインで会見を開いた。

群馬県は地域資源を生かした多種多様な地場産業を有しており、現在は自動車を中心とした製造業も盛ん。しかしながら、自動車業界に変革をもたらすCASEなどの環境変化に迅速かつ柔軟に対応する必要が出てきた。ジェトロ群馬貿易情報センター所長の柴原友範氏も「世界の製造業を取り巻く環境変化に対応して高付加価値産業へ転換するためには、3D金属プリンターなどの最新デジタルモノづくり技術と、その技術に精通したデジタルモノづくり人材がカギを握る一方、そうした設備は高額で、また教育できる指導者もいないため、1企業では手が出せないというのが現状であった」と言及。このような状況下、高付加価値産業基盤への転換を図るため、県下の産官学が集結し、前身の検討委員会から群馬積層造形プラットフォーム準備委員会を発足させた。その後、群馬金属積層造形プラットフォーム準備委員会へ名称を変更、参加企業を増やしながら準備を続け、今回群馬積層造形プラットフォームと名称を改め、本格的に金属用3Dプリンターを活用した金属積層造形をベースとした教育プログラムなどの提供を行っていくこととした。

積層造形は立体物を輪切りにした断面データを基に、樹脂・粉体などの薄い層を積み重ねて立体物を製作する技術で、3Dプリンティング、付加製造、AM(アディティブ・マニュファクチャリング)とも呼ばれ、複雑な形状が自由に成形可能となることから、航空宇宙産業・自動車・医療分野等に幅広く適用されている。加えて金属材料を用いた部品への期待も高まっている。

ミシュラングループではタイヤの性能を向上させるため、10年以上前から金属積層造形でタイヤの金型部品の製造、量産を行っている。ミシュランではこれらのノウハウを活用し、タイヤ以外の新規事業として金型製造経験と教育プログラムを有する積層造形技術のアジアでの展開を模索していたところ、ジェトロが群馬への誘致を打診し、同プラットフォームへの参画を決定した。

今月下旬に一般社団法人として稼働を開始する同プラットフォームにおいて、ミシュランの合弁企業であるAddUp(アダップ)社の機器をミシュランの太田サイト(群馬県太田市)内に設置。併せて、ミシュランは教育プログラムと運用のノウハウを所属企業に開放し、ここで培う新しい知識を基盤に、地域の企業とともに将来的な地域の新産業創出拠点を目指す。

日本ミシュランタイヤの須藤社長は「今回の積層造形技術を軸とした産官学連携はその一環であり、業界の境界を超えて社会の発展に貢献したいというわれわれの明確な意思表示でもある。弊社太田サイトから技術を提供する形で携わることができて大変光栄。地元企業、自治体、大学の皆様と密に協業し、群馬県そして日本の産業発展に寄与するため、新たな価値創造に尽力していく」と会見で述べた。

今後の展開については群馬県の自治体、公共団体、大学、企業と協力して法人設立の協議や準備を進め、今月法人登記を行い、日本ミシュランタイヤを含めた8社で活動を開始し、参加企業を広く募集するとともに、地元の大学や自治体、公共団体と連携した具体的なプログラムの検討を開始する。