2021年7月15日

岡安ゴム
コロナ早期収束へ職域接種

西部ゴム商組と共催で実施

岡安ゴム(岡浩史社長)は、政府による職域での新型コロナワクチン接種開始の方針に着目し、コロナ禍の早期収束に協力する目的から、同社主催により、西部工業用ゴム製品卸商業組合との共催という形でワクチンの職域接種を実施している。

日程としては7月4日を皮切りに7月11日までは既に実施、今後の予定としては7月18日、8月1日、8月8日、8月15日の日取りで計画されている。会場は、滋賀県草津市山寺町271―1の岡安ゴム本社で、ワクチンの種類は武田/モデルナ社製。対象者は、同社関係企業の従業員およびその同居家族で、年齢は18~64歳程度までとしており、基礎疾患などといった接種による影響の懸念がなく、政府の案内している「ワクチン接種を受けることが出来ない人」に該当しない希望者を条件としている。交通費以外の諸費用は無償(駐車場有り)。

政府から職域接種の方針が発表されて以降、同社の周辺を含めて、主に大企業が職域接種の取り組みについて公表。しかしながら中小企業などの多くにおいては、その仕組みを理解しての運用や、医療従事者、接種会場の確保、希望者の取りまとめなどが難しく、合同開催でさえも厳しい状況に見舞われている。こうした状況にあって同社では、地方の中小企業向けに早期の職域接種開催は、社会的に大きな意義があると考え、さまざまな難関を乗り越えて今回の職域接種を実現させた。今回の実例でも、同社では6月14日の早期に申し込みを完了させ、各社各病院との連携を構築。実現に向けて最も高かったハードルは、医療従事者の確保であり、民間の総合病院から協力の手が差し伸べられた場合でも、刻々と変化する行政からの要請に対応する状況が付きまとい、実現への糸口をつかむまでが難航。他の市町村へ医療従事者を派遣する前提条件が付与されるなど、民間の医療機関にとっては負担が大きく、同社のような民間企業においては、医療従事者の確保が最も大きな課題として立ちはだかった。

加えて企業主導による調整方法、仕組み自体の複雑さのほか、企業、会場、医療機関個々が取り行う内容について、個別に情報を集めて理解し、統合する義務が困難さに輪をかけた。国に対しての申請を行い、保健所からの診療行為の申請許可を受けてから、県や市町村の承認を得られて初めて各業者からの物品発送の手続きが完了。商工会議所や各種団体、公立系の医療機関などへの協力要請は、了承の意思が得られたとしても、行政からの指示ではない限り、実働に至るのが難しい環境も足かせとなった。定員は従業員1000人以上という前提条件もあり、30~100人といった規模の企業を30社以上集めて統率する難しさなど、経験したことのない試練を数多く乗り越えたことで実現に至った。今回の取り組みが実現したことで、今後改めて職域接種などが再開された際、中小企業主催モデルとしての実例を残すことで地方での接種促進に貢献する。

中小企業ではリモートワークにもハードルがあり、職場規模に起因する感染が発生することで、クラスター化しかねない環境に置かれているケースが見られることも事実。ビジネス的な立場から見ても、コロナ感染を警戒するあまり、仕事に支障をきたす要素も散見されている。それら地方の中小企業の接種を促し、接種率向上を図ることも社会貢献の一環。中小企業は、産業界の重要なサプライチェーンの一端として機能しており、コロナ禍による廃業や、供給面に支障をきたす局面は産業界にとっても大きな打撃。これら中小企業での接種を促進することによって、サプライチェーンの安定化と経済の活性化を図っていく。

今回の職域接種の実施においては、社会医療法人誠光会、草津市の草津総合病院、栗東市の社会福祉法人恩賜財団 済生会滋賀県病院、ふれあい診療所、野洲市のえとうクリニックの協力によって実現。各企業への開催案内が広がるにつれ、組合事務局からの協力への申し出や運営人員の派遣の打診、周辺企業による駐車場の開放協力など、好意的な提案が数多く寄せられた。