2021年8月20日

〈2021年12月期第2四半期決算説明会〉ブリヂストン

収益改善、黒字回復
通期は過去最高益を見込む

ブリヂストン(石橋秀一CEO)は8月10日、ウェブ形式によって「決算説明会」を開催した。それによると、当期の売上収益は前年同期比24・2%増の1兆5687億8900万円、調整後営業利益は同369・3%増の1761億7300万円、営業利益は1696億9800万円(前年同期は91億7700万円の利益)、四半期利益は3523億2000万円(同220億4400万円の損失)となり、2期ぶりに収益黒字を回復した。業績概要について同社では「グローバルでタイヤ需要が回復している状況にあって、補修用を中心に販売を伸ばした結果、大幅な増収増益を達成した。原材料高騰の影響を売値/MIXの改善でカバーし、経費・コスト構造改革の効果もあって、当期の調整後営業利益は第1四半期からさらに改善した」と説明した。

調整後営業利益における増減要因は、数量で840億円(生産現場改善活動による効果120億円、前期減損による影響の積み増し60億円)、加工費750億円、売値改善による効果で180億円、MIXで130億円、為替差益で30億円のプラス要因があり、営業費の増加(海上運賃単価の影響40億円)で230億円、原材料価格の高騰による190億円、南米通貨の影響で70億円、その他影響54億円のマイナス要因を大きく上回った。

車種セグメント別では、PS/LT用の売上収益が前年同期比25%増の7894億円、調整後営業利益が1121億円となり、利益率は12・6㌽増の14・2%。補修用/新車用ともに、高インチタイヤを中心に販売を拡大、補修用では、メジャーブランドへの集中を進めながら、販売量を拡大、第1四半期で出遅れた北米販売も第2四半期より挽回に入り、回復基調をたどっている。新車用については、前年同期比では大きく回復したが、半導体不足の影響によって2019年度レベルへの回復までには至らなかった。

TB用の売上収益は同24%増の3700億円、調整後営業利益が同170%増の410億円、利益率は同6・0㌽増の11・1%。補修用は建設需要が堅調に推移、上期累計ではほぼ19年度レベルにまで回復した。新車用は、トラクター生産において半導体不足の影響を受けており、販売回復ペースがややスローダウンしている。

スペシャルティーズ(OR/AC/AG/MC)の売上収益が同20%増の1912億円、調整後営業利益が同39%増の362億円、利益率は同2・7㌽増の18・9%。鉱山用タイヤは、今年に入ってから回復基調をたどっているが、上期の販売は前年同水準にとどまっており、相対的に回復力のぜい弱さをうかがわせている。建設用タイヤについては、補修用/新車用ともに大きく販売を伸ばした。特に補修用は19年度の販売水準を上回っており、その強さを際立たせている。

多角化市場の売上収益は、1797億円、調整後営業利益は22億円の損失。内訳は化工品事業の売上収益が1199億円、調整後営業利益は62億円の損失。スポーツ・サイクル事業の売上収益は387億円、調整後営業利益は13億円。米州多角化事業(空気バネ)の売上収益が196億円、調整後営業利益は27億円。

通期については、第2四半期までの業績が当初見通しを大幅に上回ったことで、通期見通しについても再精査を行い、上方修正する。修正後の数値は売上収益3兆3200億円(当初予想3兆100億円)、調整後営業利益3600億円(同2600億円)、当期純利益3250億円(同2610億円)としており、7期ぶりに過去最高益を更新する見通しを立てている。これに伴い、今期の年間配当を従来計画の1株当たり130円から170円(前期は110円)とする大幅増額修正を行った。