横河電機
重合反応プロセス分野で提携
世界で唯一の装置
自動連続測定システム普及へ
横河電機(本社・東京都武蔵野市、奈良寿社長)は、重合反応(モノマーやポリマーを反応させつなぎ合わせることで目的のポリマーを合成する化学反応)プロセスを持つ化学メーカーにハードウエアとソフトウエアを組み合わせた分析ソリューションを提供する米国のスタートアップ企業であるフルエンスアナリティクス社(アレックス・リードCEO)との間で、同社への出資および新しい上位機種についてグローバルな販売等に関する戦略的な業務提携契約を締結した。
本契約によって、横河電機はフルエンスアナリティクス社が提供する重合反応プロセス向け自動連続測定システム「ACOMP」の既存製品を用いて、顧客の現場での試験使用を年内に開始する予定。また、将来的に同社が発売する新製品の独占販売権(一部地域はフルエンスアナリティクス社との共同販売)を獲得する。横河電機は同社が提供する製品のエンジニアリングやシステムインテグレーションおよびアフターサービスを化学業界の顧客に提供を行っていく。
一般的に化学業界では、重合反応プロセスの状況を定期的に分析、確認し、その結果を基にプラントを制御し、製造を行っている。刻々と変化する反応状況を確認するため、リアクタから研究所に人間の手でサンプルを運ぶ必要があり、分析時間も含め一回当たり最大5時間程度の時間を要していた。この分析、確認に時間を要することで最適なタイミングを逃してしまうこともあり、製品の品質を安定して確保することが困難であった。さらに、サンプルを抽出し、運ぶ作業員の安全配慮が欠かせないことなども課題として挙がっていた。
今回契約を行ったフルエンスアナリティクス社のACOMPは世界で唯一、化学メーカーのプラスチック、ゴム、塗料などといった重合反応プロセスにおいて重合反応中の溶液を自動的に抽出し、状況を判断する上で重要な測定項目(粘度、分子量、モノマー濃度、総溶質濃度など)を連続的に分析することができる装置。既にフルエンスアナリティクス社における顧客の利用実績からも導入によって最適な運用が可能になり、安全、品質、収率(理論上得ることが可能なその物質の最大量に対して実際に得られた物質の量の比率)の向上、操業の効率化に貢献し、大幅なコスト削減も期待できるとしている。
横河電機の長谷川健司執行役員、横河プロダクト本部長は「この新しい重合反応プロセス向け自動連続測定システムは、健康・安全・環境保全に寄与するだけでなく、分析時間や不良品の削減によって、本製品導入による効果額は一般的なサイズの重合プラントにおける試算として年間約1億5000万円を見込んでいる。この製品をお客様に提供することを非常に楽しみにしている」と述べている。また、フルエンスアナリティクス社のリードCEO「私たちのチームは、横河電機を戦略的パートナーおよび投資家として迎えることを非常に喜ばしく思っている。計測とプロセス制御技術における横河電機の世界的なリーダーシップはオペレーションの拡大、フィールドエンジニアリングの強化、世界中でのインストールベース(利用台数)の拡大を可能にする重要な資産となる。横河電機と協力して次世代化学マテリアルの創出を促進し、化学業界の重合反応プロセスにおける効率性、品質、収率、持続可能性を引き続き向上させていく」と、今後の展開に期待を示している。