2021年11月5日

日本ゴム工業会
大阪で「第24回幹事会」開催

会場とウェブ並行
2年ぶりの関西で50人集う

日本ゴム工業会(池田育嗣会長)は10月29日、大阪市北区のホテル阪急インターナショナルにおいて、「第24回幹事会」をウェブと並行して会場を設けて開催した。例年10月に行われる大阪での昨年の幹事会は東京での開催に変更し、工業会設立70周年の祝賀会を実施する予定であったことから、大阪での幹事会の開催は2年ぶり。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の勢いも弱まり、政府による緊急事態宣言の発出も解除されたこともあって、会場には全国から50人の会員が参加した。恒例の懇親会は中止となったものの、池田会長は「来年以降は何とか懇親会の開催も実現し、皆さんとの懇親の機会でもある本来の幹事会の姿を取り戻したい」と意欲のほどを示した。

開会にあたってあいさつに立った池田会長は「昨年は東京で工業会の節目である設立70周年の式典を10月に実施しようと企画したが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて延期を余儀なくされた。この一年間は、新型コロナウイルス感染症にさいなまされ非常に不自由な思いをしたが、ようやく収まってきた。しかしながら海外においてはいまだ拡大傾向にあり、予断は許されない状況ながら、日本においてはワクチンの接種率が高まるなど対応が進んでおり、経済活動も回復傾向をたどっている。ゴム製品の国内生産実績も8月末時点のデータによると、自動車タイヤ、ゴムホースなどといった主要製品の回復に伴って20%程度のプラスとなっている。財務省の貿易統計においても円安にも助けられながら、ゴム製品の輸出額が前年同期比40・5%増と3年ぶりにプラスに転じた。しかしながら原油価格の高騰や原材料の需給バランスの悪化、国際物流の問題など懸念材料は多く残されている。自動車についてもサプライチェーンの混乱などもあって楽観視できない情勢にある。会員企業各社もそれぞれに苦労しながら努力を続けていると思うが、当工業会としても、これまでの経験を生かしながら、リモートを活用するなど事業活動にまい進することで会員の皆さんに役立っていきたいと考えている。SDGs、カーボンニュートラル、EV化への対応などについては企業単位にとどまらず、業界としても継続して取り組んでいく課題であると考えている。社会全体を意識した対応が求められており、当工業会としても世界に向けてアンテナを高く張り、会員企業に貢献する取り組みだけでなく社会に役立つ活動を進めていく」と、今後に向けての姿勢について述べた。

引き続き報告事項に移り、ゴム製品の生産および輸出入概況、最近の資材動向などについての状況説明が行われた。自動車タイヤ(本数)、工業用品類(新ゴム量ベース)については、自動車タイヤは2020年3月辺りから回復傾向をたどり始め、ピークを迎えた6月辺りでコロナ禍前のレベルに戻りつつあったが、自動車生産におけるサプライチェーンの停滞による影響を受けて急落。ゴムベルト、ゴムホース、工業用品についても同様の時期に回復基調をたどったが、自動車タイヤと同様に大きく引き戻された。

ゴム製品の輸出動向については、為替相場が9月に入ってからは若干の円高傾向に傾いたものの円安傾向が続いていたこともあり、ゴム引布、履物類、防舷材、運動競技用品、ゴムホース、ガスケット類、気泡ゴム製品、ゴムベルト、その他製品、自動車タ・チ、自転車タ・チ、ゴム板・ストリップ類、医療衛生用品の13品目が前年実績比増加。輸入に関しても16品目中、12品目で前年同期の実績を上回った。

最近の資材動向(21年10月まで)については、原油・ナフサ相場の動きが、世界的な経済情勢の回復で一貫して上昇を続けているが、産油国が増産を控えたことで、今後もさらなる高騰が予想されている。天然ガス、石炭も代替需要として引き込まれてエネルギー全般で高止まり状況。同工業会では、「この傾向は少なくとも第3四半期までは継続するだろう」と見ている。天然ゴム相場の動向については、産地での災害などによる収穫量の不足、コロナ禍による労働力不足の影響で価格は上昇。世界的な半導体不足などによって自動車生産の伸びにブレーキがかかったが、回復をたどることでゴムの需要の高まりに加え、主要原材料価格は上昇の一途をたどるとみられている。

中小企業会員(42社)の景況調査においてくみ上げられた、直面している経営上の問題点については、トップが原材料価格上昇で30社、次いで生産設備の不足・老朽化で26社、需要の停滞が19社、従業員の確保難が16社、原材料不足の15社が上位5件。新型コロナウイルス感染拡大への対応を課題に上げた企業は2社にとどまり、業務を遂行する上で立ちはだかっている直接的な問題が深刻化していた。