2022年3月期第2四半期決算
バンドー化学
大幅な増収増益達成
コロナ禍前上回る水準へ
バンドー化学(吉井満隆社長)は11月24日、オンラインによって「第2四半期決算説明会」を開催した。「大幅な増収増益で、四半期レベルではコロナ前を上回る水準となっており、日本、中国、アジア、欧米などのすべての地域セグメントで前年同期と比較して増益。売上高については、日本を除いたすべての地域でコロナ禍前の実績を上回った」(柏田真司取締役)。コア営業利益は過去最高を達成し、配当予想の見直しを行った結果、過去最高の配当額を予定している。当期の売上収益は、前年同期比24・3%増の461億4400万円、コア営業利益は同230・2%増の43億7600万円、営業利益は同237・3%増の48億4700万円、四半期利益は同269・3%増の37億9800万円となった。コア営業利益における増減要因は、売上収益の増加による2376億円、売上原価率の変動による1082億円、為替差益(粗利)213億円のプラス要因があり、販管費の増加による453億円、為替の影響(販管費)による168億円の減益要因を大きく上回っことで大幅増益となった。
セグメント別では、自動車部品事業の売上収益は前年同期比36・7%増の197億9300万円、セグメント利益は同740・0%増の16億6700万円。国内における売上収益は同21・9%増で、積極的な営業活動により補修市場向け品ぞろえの拡大や多用途四輪車用変速ベルトの販売が増加したことに加え、自動車生産台数の回復により、補機駆動用伝動ベルト「リブエース」、補機駆動用伝動システム製品「オートテンショナ」などといった販売が増加した。海外においては、中国の売上収益は同13・8%増で、「半導体不足の問題はあったものの、当社の顧客への影響は少なく」(柏田取締役)生産台数は増加、補機駆動用伝動ベルトなどの拡販もあって伸長した。米国、欧州他の売上収益は同39・0%増で、自動車生産台数の回復により販売が増加。アジア地域の売上収益は同53・7%増で、同様に自動車生産台数の回復効果に加え、二輪車用変速ベルトの販売も増加した。
産業資材事業の売上収益は同12・9%増の171億6300万円、セグメント利益は同80・7%増の19億5400万円。一般産業用伝動ベルトについては、国内の売上収益は同8・6%増で、民間設備投資需要が増加したことで産業機械用伝動ベルトの販売が増加した。運搬ベルトについては、コンベヤベルトおよび樹脂コンベヤベルト「サンラインベルト」の販売が伸びた。海外においては、中国の売上収益は同30・2%増、アジア地域は同13・2%増。両地域ともに農業機械用および産業機械用伝動ベルトの販売が増加した。米国および欧州などの地域における売上収益は同30・9%増。米国・トルコにおいて、産業機械用伝動ベルトなどの販売が増加した。
高機能エラストマー製品事業の売上収益は同28・4%増の70億4200万円、セグメント利益は4億1300万円(前年同期は3億5900万円の損失)。機能フイルム製品の売上収益は同33・6%増で、新型コロナウイルス感染症の影響により一時停滞していた需要が回復したこともあり、建築資材用フイルムの販売が増加した。加えて、医療用および装飾表示用フイルムなどの販売も増加した。精密機能部品の売上収益は同25・1%増で、主要顧客の生産回復により精密ベルト、高機能ローラおよびブレードなどの販売が増加した。
その他事業(ロボット関連デバイス事業、電子資材事業および医療機器事業等)の売上収益は同4・0%増の25億8100万円、セグメント利益は同3・2%増の1億4700万円となった。
通期については、第2四半期までの業績は当初予想を上回って推移しているものの、半導体の供給不足による主要顧客の減産や原材料価格の高騰など、依然として業績の下振れリスクが残ることに加え、同社および一部の国内子会社において当年度中に賞与制度の変更を実施することを検討しており、一時的な営業費用が発生する可能性があることから、本年5月13日に発表した連結業績予想を据え置いた。今期の売上収益は前期比10・6%増の900億円、コア営業利益は同21・5%増の60億円、営業利益は同20・9%増の65億円、当期利益を同14・1%増の45億円と見込んでいる。
同社では、株主還元方針の変更を行い、経営環境および資本の状況などを踏まえた上で株主還元の充実を図る目的から、連結配当性向を40%まで引き上げた。この方針の下で同社の業績などを総合的に勘案した結果、今期の期末配当予想を1株当たり8円増配して24円、第2四半期末配当の16円と合わせて、1株当たり過去最高の40円を予定している。