日本ゼオン
シクロオレフィンポリマーリサイクル技術確立
高岡工場にプラント
日本ゼオン(田中公章社長)は、シクロオレフィンポリマーのリサイクル技術をこのほど独自に開発した。この新しいリサイクル技術によって、これまで課題とされてきた透明性や高純度を維持することに成功し、バージン樹脂と同等の品質レベルまで再生可能となった。リサイクル樹脂はバージン樹脂と比べ、製造時のCO2発生量を約1万2000㌧削減することにつながる。
今年10月から富山県の高岡工場内において年間生産能力6000㌧のリサイクルプラントを建設着工し、2024年8月に稼働予定となっている。
同社のシクロオレフィンポリマー「ゼオネックス」「ゼオノア」は、優れた光学的・化学的特性を持ち、光学レンズや光学フィルムから医療・バイオテクノロジーの分野に至るまで幅広く利用され、高い評価を得ている。また、同社独自開発の溶融押出法によって自社加工されている光学フィルム「ゼオノアフィルム」は、ディスプレイの大型化に伴う市場拡大に合わせ、堅調な需要が継続している。
今回新たに開発されたリサイクル技術は、光学フィルム製造時に排出される廃棄樹脂を再生するもの。
プラスチックリサイクルは現在大きな社会課題の一つとなっているが、特に光学用途においては、要求品質に見合う技術の確立が待ち望まれていた。今回同社が開発したリサイクル技術は、透明性や純度等の品質面でバージン樹脂と同等のレベルであることが確認されている。リサイクルされた樹脂は、光学フィルムの製造に再利用される計画で、今後も見込まれるおう盛なニーズにこたえていくもの。
同社では今回の技術開発ならびにリサイクルプラントの稼働は、シクロオレフィンポリマーのさらなる差別化を図ることができるとともに、廃棄樹脂の再利用や製造時のCO2削減といった持続可能な社会の実現に寄与する。