2022年5月30日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集①】三ツ星ベルト
食品や物流業界回復

販売戦略、重点分野定める

三ツ星ベルトが取り組んでいる搬送用ベルト事業における最近の動向は、2022年3月期第3四半期までの販売状況については、食品業界や物流業界の回復に伴い、これら市場向けの売上高は増加した。樹脂コンベヤベルトについては、食品業界向けでは新型コロナウイルス感染拡大の影響を若干受けたものの、物流業界向けで新規・補修案件の立ち上がりによって、一時停滞していた物件が再開、売り上げが好調であったことから、全体的には比較的堅調に推移した。その一方で、ゴムコンベヤベルトは大型のベルト取り替え案件が減少、公共工事などの延期等も重なったことで伸び悩んだ。

今後の展望としては、需要業界における半導体需給の懸念、原材料価格や物流費の高騰、新型コロナウイルス感染症による影響など、先行きについては依然として不透明な状況が続くと見ており、警戒感を怠ることなく拡販に力を注ぐ。高騰が続く原材料価格については、企業努力だけで吸収することは困難であると判断、樹脂ベルトについては、製品価格を昨年10月1日受注分から5~15%の幅で値上げを実施した。ゴムコンベヤについても先月1日受注分から10~15%の価格幅で値上げを実施している。製品の安定供給を第一に考えた対応策であり、品質の維持向上にもつなげる。

現在、搬送ベルト製品については、食品分野では「ママラインシリーズ」、物流分野では「ロジスターシリーズ」の拡販に力を注いでいるが、製品については食品搬送用「フリースパン」ベルトのブルータイプ、グローバルな食品衛生法に適した「ママラインUWシリーズ」、改正食品衛生法適合のブルーベルト、樹脂コンベヤベルトの加工では業界初となる「レーザマーキング加工」の認知度向上による受注強化に向けて、販売戦略や重点分野を定めて取り組んでいる。食品搬送用フリースパンベルトのブルータイプは、改正食品衛生法に適合した原材料を使用。同社の樹脂コンベヤベルト「Tailorbelt」のブルーベルトと組み合わせることで、工場内の搬送用ベルトをブルーに統一することができる。アラミド心線と抗菌・防かびポリウレタンによる構造で、改正食品衛生法に適合していることから、食品を直に搬送することが可能。厚生省告示第370号・平成30年法律第46号のポジティブリスト(通称)に収載された原材料を使用しており、同告示の一般規格も満たしている。自然界の食品の色としては、ほとんど存在しない鮮やかなブルーに彩った製品で、異物や残渣の発見、清掃効果の確認に適したベルトとなっている。抗菌・防かび性を備えているほか、耐湿性にも優れており、主な用途としてはパンや菓子生地の搬送、食品や医薬品などといった包装品の搬送に適している。

ママラインUWシリーズは、同社のTailorbeltでラインアップされた製品で、グローバルな食品衛生法に適合したシリーズとして展開。国内の食品衛生法への適合は当然のことながら、欧州のPIM規格(Regulation EU10/2011)、米国のFDA(177―2600)抽出試験にも適合、食品に直接触れる用途でも安心して使用できる。ポリウレタンと、糸ほつれ防止ならびに耐すり込み収縮ポリエステル帆布を組み合わせた構造により、糸ほつれの心配を排除し、低収縮による安定性を実現した。表面形状として、平面とサークルコーンパターン、ウェイブパターンの3種類をラインアップ。平面タイプは白とコバルトブルーの2色が用意されており、2000㍉幅までの対応が可能。主な用途としては、パンや菓子生地の搬送や包装ラインにおいて特長を発揮する。サークルコーンパターンやウェイブパターンは、高グリップな表面形状でありながら洗浄性にも優れている。主な用途としては、食肉や魚などといったスライサーの送り込み部分で特長が際立つ。ママラインシリーズにおける「多機能ブルーベルト」は、改正食品衛生法に適合していることから、食品生産工程において安心して使用できる。耐油性、耐湿熱性、糸ほつれ防止以外にも多様な機能を搭載。心体はポリエステル2プライで、これに収縮防止帆布、表面には鏡面仕上げが施されており、耐次亜塩素酸ナトリウム、抗菌・防かび効果に優れた熱可塑性ポリウレタン(TPU)を採用。次亜塩素酸ナトリウム溶液でベルトを洗浄する食肉加工品、水産加工品や生野菜の搬送に最適な搬送用ベルトとして展開している。

レーザマーキング加工は樹脂コンベヤベルトにおける高付加価値な加工法で、ベルトにレーザ光を照射してマーキングすることから、他のプリント加工では対応できないベルト品種への加工を可能とした。鏡面仕様や表面パターン付きのベルトにも加工できる。搬送物をベルト上の所定の位置に置くためのマーク付けや、ベルト回転時の警告表示掲出などにおいて利便性を発揮する。単純な形から複雑な模様まで幅広いパターンのマーキングを施すことが可能で、自社のロゴマークなどの加工もできる。マークの色は灰色系で、濃淡を付けることが可能。溶着加工ではないことから、ベルト加工時間を短縮することができる。パン生地や菓子生地、段ボールなどといった搬送物の位置決めや、展示会などにおける自社ロゴマークのPR用など、幅広い目的での活用が期待できる。