2022年5月30日

2022年3月期「決算説明会」を開催
三ツ星ベルト

売上高は過去最高を更新
ベルト事業内外好調

三ツ星ベルト(池田浩社長)は5月20日、ウェブを通じて「決算説明会」を開催した。当期の決算は増収増益を達成し、特に利益面を大幅に伸ばした。2021~23年度を実行期間とした「中期経営計画’21」の初年度であり、計画達成に向けたスタートの年度であったものの、当期で23年度の売上高・営業目標額を達成する見込みから経営計画の見直しを行った(記事は1面掲載)。同社では、これまで財務体質の強化を目標にしてきたが、ウィズコロナの環境にありながら、業績もコロナ禍前の19年のレベルをしのぐまでに戻してきており、〝稼ぐ力〟も備わったことから、株主還元に軸足を置き、今後はROE(自己資本利益率)を重視した資本効率の向上に力を注ぐ」(池田社長)。

当期の売上高は前期比15・4%増の748億7000万円、営業利益は同53・8%増の76億4000万円、経常利益は同48・5%増の85億5200万円、当期純利益は同56・9%増の63億8000万円となり、売上高は過去最高を更新した。利益面では、環境の変化にぶれない強い企業を目指して一層の経営効率化とコスト削減を図った結果、大幅な増益となった。1株当たりの配当額についても前期比86円増の143円を計画しており、配当性向は64・9%。過去最高の高配当となるが今期(23年3月期)からは、配当性向を100%以上にまで引き上げる方針で、今期の1株当たりの配当は220円を予想している。営業利益の変動要因は、売上高の増加による増益効果が65億円と大きく、マイナス要因である減価償却費による1億1000万円、原材料価格高騰による6億8000万円、物流コストの上昇による8億8000万円、労務費・人件費の高騰18億3000万円、その他の影響による5億4000万円のマイナス要因を補った。円安による為替差益も生じている。設備投資費は約44億円で国内外の生産再編や物流設備の改善に費用を投じた。

セグメント別では、国内ベルト事業の売上高は前期比12・1%増の277億7400万円、営業利益は同51・0%増の71億9200万円。前期と比較して主要顧客の経済活動が回復傾向にあることから、いずれの業界においても需要が回復した。自動車用ベルトは半導体不足による顧客の生産調整があったが、システム製品の拡販などから組み込みライン用の売上高が増加、中古車需要がおう盛であったことから補修市場向けの売上高も伸びを見せた。一般産業用ベルトは、射出成形機やロボット業界向けの販売が好調に推移、農業機械向けも政府補助金の効果などから売上高が増加した。搬送ベルトは、食品業界向けの需要回復に加え物流業界向けも好調に推移、売上高も伸びた。合成樹脂素材は、市況の回復に伴って樹脂素材の売上高が増加した。

海外ベルト事業の売上高は同23・2%増の364億8800万円、営業利益は同40・7%増の38億4700万円。新型コロナウイルスの影響が大きかった前期と比較して、アジアや欧米のいずれの地域においても売上高が大きく回復した。自動車用ベルトは、米国ではスノーモービルや多用途四輪車向けの販売が期間を通じて好調に推移、四輪車用も補修市場の拡販により売上高が増加した。東南アジア・中国においても二輪車用の売上高が大幅に伸びた。四輪車用については、半導体不足によるユーザーの生産調整があったものの、補修市場の拡販に注力した結果、前期の実績を上回った。一般産業用ベルトは、アジアや欧州における補修市場の拡販により、売上高が増加。OA機器用ベルトについてはユーザーの生産が回復傾向にあったものの、期間後半にかけて半導体不足の影響があったことから、通期では前期並みにとどまった。

建設資材事業の売上高は同6・7%減の53億6300万円、営業利益は同53・2%減の1億3600万円。建築部門は、公共や民間の改修工事物件が回復傾向にあることから、前期並みの売上高となったが、土木部門においては廃棄物処分場などの工事物件の減少、物件の規模縮小の影響を受けた。

その他(エンジニアリング ストラクチュラル フォーム、金属ナノ粒子を応用した新製品、仕入商品等)の売上高は同10・9%増の52億4200万円、営業利益は同100・8%増の2億4800万円となった。

純資産は、当期純利益の計上などにより86億1300万円増の868億7700万円となり、自己資本比率は前年度末の72・4%から73・0%に上昇した。

今期については売上高を前期比3・5%増の775億円、営業利益は同4・7%増の80億円、経常利益は同6・5%減の80億円、当期純利益は同1・3%減の63億円を見込んでいる。同社グループでは将来における国際会計基準の適用に備え、グループ会社の決算期を統一、引き続き決算の早期化などといった取り組みを進めている。