2022年6月5日

〈2022年3月期決算説明会〉バンドー化学
コア営業利益は増益

主セグメントも好調に推移

バンドー化学(植野富夫社長)は5月23日、ウェブを通じて「決算説明会」を開催した。中長期経営計画〝Breakthroughs for the future〟(未来への躍進)の第2ステージの4年目となる当期の売上収益は前期比15・2%増の937億4400万円、コア営業利益は同19・1%増の58億8000万円、営業利益は同50・4%減の26億6500万円、当期利益は同69・3%減の12億1100万円となった。新型コロナウイルス感染症の影響は前年同期に対して景気持ち直しの動きもあり売上収益は好調に推移、コア営業利益については大きく増益したものの、賞与制度の変更に伴い一時的な営業費用が発生、連結子会社における減損損失を計上したことにより営業利益、当期利益は前期実績に及ばなかった。

同社の連結子会社であるAimedic MMTの取得時に発生したのれんについて、国際会計基準(IFRS)に基づく減損テストを実施、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による業績悪化およびそれに伴う個別製品の成長率の見直しなどを行った結果、のれんの減損損失40億2200万円を計上した。これに伴い、Aimedic MMTの株式の実質価額が著しく下落したことから、関係会社株式評価損65億6800万円を特別損失として計上したことで収益面に大きな影響を与えた。加えて、バンドー化学の連結子会社であるBando USAにおける収益性の低下などによって、Bando USAの株式の実質価額が著しく下落したことから、関係会社株式評価損31億5500万円が特別損失として発生した。

コア営業利益における増減要因は、売上収益の伸びによる31億8200万円の増益により、売上原価率の変動による8900万円、販管費増で7億9200万円、為替差損11億円、賞与制度の変更による影響額13億4900万円を賄った。

地域別では、日本の売上収益は前期比7・8%増の481億円、アジアの売上収益は同24・5%増の254億円、中国の売上収益は同20・2%増の101億円、欧米他の売上収益は同29・1%増の102億円。

セグメント別の状況は、自動車部品事業の売上収益は前期比19・6%増の418億2900万円、セグメント利益は同14・9%増の27億4100万円。国内においては、積極的な営業活動により、補修市場向けに品ぞろえを拡大、加えて主要顧客である自動車メーカー向けに「リブエース」などといった補機駆動用伝動ベルトおよびオートテンショナなどの補機駆動用伝動システム製品の販売が増加した。海外においては、中国における売上収益は同15・7%増の41億3000万円。主要顧客の生産台数の増加や、補修市場への拡販により補機駆動用伝動ベルトなどの販売が伸長。米欧他は同26・0%増の53億1000万円。アジア地域は同27・4%増の206億円で、いずれも販売が増加した。

産業資材事業の売上収益は同10・2%増の333億100万円、セグメント利益は同20・1%増の26億8800万円。日本における売上収益は同5・7%増の231億円。一般産業用伝動ベルトについては、国内において民間設備投資の増加により産業機械用伝動ベルトの販売が増加、加えて農業機械用伝動ベルトの販売も増加した。

海外においては、中国における売上収益は同28・8%増の26億円。アジアにおける売上収益は同10・8%増の32億9000万円。農業機械用および産業機械用伝動ベルトの販売が増加。米欧他における売上収益は同29・1%増の42億9000万円。米国および欧州地域において産業機械用伝動ベルトの販売が増加した。運搬ベルトについては、国内において樹脂コンベヤベルト「サンライン」ベルトの販売が伸びた。

高機能エラストマー製品事業の売上収益は同17・8%増の139億9800万円、セグメント利益は2億8000万円(前期は1億2900万円の損失)となった。機能フイルム製品の売上収益は同17・4%増の49億4000万円。新型コロナウイルス感染症の影響により、一時停滞していた需要が回復、建築資材用フイルムの販売が増加した。医療用、工業資材用および装飾表示用フイルムなどの販売も伸びた。精密機能部品の売上収益は同17・9%増の90億2000万円。主要顧客の生産回復により、精密ベルト、高機能ローラおよびブレードなどの販売が増加した。

その他事業(ロボット関連デバイス事業、電子資材事業および医療機器事業など)の売上収益は同3・5%増の55億5400万円、セグメント利益は同10・2%減の3億400万円となった。

今期については、足元では原材料価格が急騰しており、サプライチェーンの混乱や地政学的リスクの顕在化などといった、下振れリスクは依然として残るものの、売上収益を前期比1・3%増の950億円、コア営業利益を同19・0%増の70億円、営業利益を同181・4%増の75億円、当期利益を同312・9%増の50億円と見込んでいる。見通しの背景としては、景気回復が続いており、賞与制度の変更などの一時的な損失がなくなることもあって増収増益を目指す。