2022年7月20日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集②】
フォルボ・ジークリング・ジャパン

高水準の販売計画で推進

HACCPコンセプト対応製品 安定した伸び

フォルボ・ジークリング・ジャパンが手掛ける樹脂搬送用ベルト事業の今期の現状(2022年12月期・1~5月)は、フォルボグループが方針として掲げる22年からの再成長を念頭に置いた高水準の販売計画で推進していることもあり、計画対比では若干の未達であるものの、売上高、利益とも前年同期の実績を上回って推移している。需要分野ごとの状況としては、注力分野の一つである食品業界向けはHACCPコンセプト対応製品が安定した伸びを継続。中でも耐湿熱性ポリウレタンでベルト両面をコーティングした「ProsanフルシールHACCPシリーズ」はコロナ禍以前と比較すれば需要は落ち着きを見せているものの、20年6月からスタートしたすべての食品事業者に対するHACCP義務化も販売の追い風となり、優れた洗浄性と異物混入のリスクが低いことなど、より食の安全に貢献する卓越した衛生機能が需要の喚起につながっている。食品関連全体では土産物産業などインバウンド需要の低迷で大きな影響を被ったものの、巣ごもり需要の拡大で中食分野向けは依然堅調さを持続。こういった需要分野においても、改正食品衛生法へのいち早い対応が好調さの後押しとなっている。一方、もう一つの柱である物流分野も近年、拡大の一途をたどる物流センター向けの需要が好調に推移。顧客の拠点の新設・拡張に伴って同社の供給も伸びており、eコマースにおいて拡大する自動化・効率化の波は今後も継続すると見られることから、同社では今期も堅調に推移するものと見通している。そのほか、工業用途では主力の自動車に加え、タイヤ、段ボール関連での販売も好調を維持。半導体ひっ迫に起因するユーザーの生産調整による影響も一時に比べて改善が進んでおり、販売量も追随して以前の水準に持ち直しつつある。

同社では先月開催された「FOOMA JAPAN2022」において、前回に引き続き「衛生性向上による食の安全・安心」をテーマにHACCPコンセプトに対応した製品を訴求した。戦略製品に位置付けるProsanフルシールHACCPシリーズからは、従来からの厚生省告示第370号に加えて厚生労働省告示第196号(ポジティブリスト)、FDA、EU/EC準拠の新シリーズを出展。オプションのスマートシールを加工することで心体帆布への液体浸透を抑制でき、安全性はもちろんのこと洗浄作業の効率化など使い勝手もさらに向上する。

また「準弾性EL(エラスチック)ベルト」は、弾性の縦糸で織られた1プライ帆布構造で走行性や蛇行における諸問題の解決に効果を発揮。そのほか「ブルーエラスチックベルト」は耐加水分解性の高い青色ポリウレタンを使用した製品で、心体はなく異物混入のリスクを軽減できる。そのほか、プラスチックモジュールベルトの「プロリンク」や、参考出品としてホモジニアスベルト(無心体ベルト)の試作品なども紹介。同社ではこういったベルトも今後の需要の高まりが見込める製品として開発に注力していく。

今年5月に開催された代理店向けの「ウェブ研修会」では製品知識の向上に向けて60名が参加。昨年の開催では約100名が参加して大々的に開かれたが、今回は参加者とのコミュニケーション度の向上を図るため、参加人員を制限して開催した。より深い製品知識の吸収や理解を高めるためには対面による開催を望む声もあったが、オンラインによる開催は遠方のパートナーにも参加しやすいメリットがあり、同社ではこうしたデジタルツールを活用したイベントを今後も拡充していく方針。