2022年9月5日

東レ・デュポン
新型コロナウイルスへの不活化効果確認

「ハイトレル」特殊グレードで

東レ・デュポン(畑愼一郎社長)は、広島大学大学院医系科学研究科ウイルス学研究室の坂口剛正教授との共同研究によって、ポリエステルエラストマー「ハイトレル」の特殊グレードで、新型コロナウイルス(SARS―CoV―2)に対する不活化効果を確認したことを8月19日にオンライン会見で発表した。

ハイトレルはゴム弾性を持ちながら、高機能性、良成形加工性も備えるエンジニアリングプラスチック。ゴムにない物理的・化学的特性を生かした自動車等速ジョイントブーツ、ドアロック部品、シフトレバー部品といった自動車向け機構部品のほか、ゴム弾性による柔軟かつ良好な触感特性から、カーナビ・リモコンキースイッチ表皮、工具・カメラのグリップ部、衣料用ボタンなど、人の手に触れる部品に数多くの採用実績を有している。

抗ウイルス性を持つ樹脂製品にはこれまでも練り込み技術やコーティング剤、光触媒材料等によるものが既に存在していたが、そのための製造コストや耐久性、発色性の点でそれぞれに課題を抱えていた。ハイトレルの特殊グレードは練り込みや特別な後加工を施すことなく、エラストマー成形品でウイルスの不活化が確認された初めての技術。ハイトレルが持つ本来の特性を損なうことなく、身近な日用品・電子機器から多くの人が利用するオフィス・公共施設の設備に至るまで、さまざまな分野への応用が期待される。

今回の共同研究の結果では、新型コロナウイルスに対して6時間で99・9%以上不活性化を確認し、本技術に関連する複数の特許を出願している。

今後の採用が期待される用途・分野については、ハイトレルの柔軟かつ良好な触感特性に、新型コロナウイルス不活性化特性が加わり、カーシェアリングを想定した自動車内装、公共設備のドアノブ、手すり、電機・電子機器の操作パネル、リモコンボタン、介護向け等のヘルスケアのクッション、マットレスといった不特定多数の人が触れる部位での採用が期待される。

同社は今回発表を行ったハイトレル特殊グレードを広く市場に展開することによって、人々の安心・安全な暮らしと公衆衛生の向上に貢献していく。