鶴見化学工業
不溶性硫黄事業取得
粉末硫黄と2品種供給
鶴見化学工業(本社・茨城県神栖市、加藤進一社長)は9月22日、日本乾溜工業(本社・福岡県福岡市、兼田智仁社長)との間で、ゴム用不溶性硫黄事業を譲受する吸収分割契約を締結し、本年12月1日より鶴見化学工業が運営することで合意した。日本乾溜工業が営む化学品事業のうち、ゴム用不溶性硫黄事業を会社分割の形式で承継するもので、日本乾溜工業は今回の会社分割に際して約1億3000万円の交付を鶴見化学工業から受ける。
鶴見化学工業は1944年より粉末硫黄(溶性硫黄)の製造を行っており、ゴム用粉末硫黄をゴム業界に広く販売。今回、ゴム用不溶性硫黄事業を加えることにより、粉末硫黄とゴム用不溶性硫黄の両グレードの硫黄を国内外のタイヤ、ゴム会社に供給できるようになる。今回の事業譲受により、鶴見化学工業の硫黄生産量が1・5倍、売り上げは1・7倍となる。
ゴム用不溶性硫黄の需要は今後、世界的に増える状況が見込まれており、タイヤ・ゴム業界の幅広いニーズに対応する目的から、鶴見化学工業では事業の買い取りを決めた。同社では今回、ゴム用不溶性硫黄事業を加えることで、シナジー創出を見込んでいる。加えて、鶴見化学工業の親会社であるゴム材料商社の加藤産商の販売ネットワークを通じて、ゴム用不溶性硫黄の国内外への拡販に努めていく。
日本乾溜工業は、60年5月に不溶性硫黄の製造販売を開始。順調に事業を継続してきたが、新型コロナウイルス感染症拡大による影響や原材料の高騰など、同事業を取り巻く環境が厳しさを増しており、日本乾溜工業グループの主力事業である建設事業および防災安全事業に経営資源を集中することが最善策であり、企業価値の向上にもつながると判断。そこで、粉末硫黄の老舗メーカーであり、その優れた知見と実績を備えた鶴見化学工業に、日本乾溜工業の不溶性硫黄事業を譲り渡すことで事業も活性化され、シナジー創出についても見込まれることから、今回の分割契約の締結を取締役会で決議した。
鶴見化学工業は、12月1日に事業譲渡を受けた時点で、同事業に関する資産や負債、契約およびその他の権利義務について契約の定める範囲で引き継ぐ。同事業の工場所在地は福岡県北九州市で、年間4000㌧の生産能力を備えている。タイヤ会社、ゴムベルト会社のほか、ゴム工業製品会社に納入している。生産しているゴム用不溶性硫黄の硫黄中の不溶性硫黄成分は約60%で、「セイミOT」「セイミサルファー」の製品名で知られている。工場人数は25人。