2022年10月5日

BASF
世界初の大規模電気加熱式スチームクラッカー実証プラント建設

CO2排出を90%以上削減

BASF(本社・ドイツ、マーティン・ブルーダーミュラー会長)と、SABIC(本社・サウジアラビア、以下、サビック社)、Linde社(本社・イギリス、以下、リンデ社)の3社は、世界初の大規模な電気加熱式スチームクラッカーの実証プラントの建設を開始した。この新技術は、天然ガスの代わりに再生可能エネルギーを使用することで、化学業界で最もエネルギー集約的な生産プロセスの一つであるスチームクラッキングから排出されるCO2を、現在使用されている技術に比べて、90%以上削減できる可能性を備えている。

実証プラントは、BASFのフェアブント拠点(統合生産拠点)に設置されている既存のスチームクラッカーの1つに完全に統合される。2つの異なる加熱コンセプトをテストし、1時間当たり約4㌧の炭化水素を処理し、6㍋㍗の再生可能エネルギーを消費する予定。実証プラントの稼働は来年を目指している。

BASFとサビック社は、このプロジェクトに共同投資し、実証プラントはBASFが運営。リンデ社はこのプロジェクトの設計、調達、建設のパートナーで、将来的には開発した技術を商業化する予定。新規炉技術の開発支援に向け、このプログラムは、ドイツ国内のエネルギー集約型産業がカーボンニュートラルを達成するための取り組みを支援するものであり、同プロジェクトはドイツ連邦経済・気候保護省の「産業界の脱炭素化」資金援助プログラムにより、1480万ユーロの助成金を受ける。

BASFのブルーダーミュラー会長は「BASFの使命はクライメートニュートラル達成であり、膨大なエネルギーを消費するスチームクラッカーの電化は、ネットゼロへの変革の旅において重要なマイルストーンとなる。ドイツ経済・気候変動対策省からプロジェクトの資金提供を受けたことは、当社のアプローチが政策立案者によっても支持されている証であり、誇りに思っている」とプロジェクトの意義についてコメント。サビック社のユセフ・アルベニャン副会長兼CEOは「われわれのビジョンは効率的なカーボンマネジメントを通じて、ビジネスを変革し、世界の緊急課題に取り組むことにある。このプロジェクトは、低炭素化プロセスを推進する世界中の石油化学業界にとって大きな可能性を秘めている。今回、共同で発表した建設開始のマイルストーンにより、3社の協力関係が最終的に循環型炭素経済を通じて温室効果ガスの排出量実質ゼロの世界を実現するための、より多くの協力関係を促進する」と期待の言葉を述べた。

リンデ社の取締役副社長兼リンデ・エンジニアリング社のユルゲン・ノヴィッキCEOは「今回のプロジェクトは、グローバル企業が技術開発、設計、調達、建設の実行と運営における専門知識を組み合わせることで、いかにうまく協力できるかを実証している。実証プラントのタイムリーな納入は、石油化学産業が持続可能なソリューションを利用できるようになるための大きなマイルストーンとなる。われわれはこの画期的なプロジェクトに参加できることを誇りに思う」と述べた。

今回の実証プラントの目的は、電気を熱源としたオレフィンの連続生産が可能であることを示すことで、同プラントは2つの加熱コンセプトを並行してテストできるように設計。直接加熱は、リアクター内のプロセスチューブに直接電流を流し、間接加熱はチューブの周囲に配置した発熱体の輻射熱を利用する。2つのコンセプトをテストすることで、顧客や現場のさまざまな要求に柔軟に対応することが可能となる。

基礎化学品の製造において中心的な役割を果たすスチームクラッカーは、炭化水素をオレフィンや芳香族に分解するためには、膨大なエネルギーが必要。一般的には約850度のリアクターの中で反応が行われる。現在では、化石燃料を燃焼させることでこの温度を得るエネルギーを得ているが、同プロジェクトでは、このプロセスを電気で動かすことによりCO2排出量の削減を目指す。