2022年10月25日

王子ホールディングス
CNFと天然ゴムの複合材開発

木材原料由来素材
カーボンブラックを代替

【天然ゴム複合材の硬さ・伸び(相対値)】

【天然ゴム複合材の硬さ・伸び(相対値)】

王子ホールディングス(本社・東京都中央区、磯野裕之社長)は木材原料由来で、同社独自の製法によって製造したリン酸エステル化セルロースナノファイバー(以下、CNF)と、同じく木材原料由来である天然ゴムとの複合材の開発に成功した。

天然ゴムは伸縮性(伸び)や耐摩耗性に優れ、かつ柔らかい特長を持つ素材。世界で年間1300万㌧程度生産されており、タイヤ、ホース、コンベヤベルト等の各種用途で使用されているが、その多くの用途においてゴム素材でありながら、硬さが重要な性能とされている。天然ゴムの柔らかさを改善するためには、一般的にはカーボンブラック(以下、CB)等を混合し、硬さを付与するが、一方で特長の一つである伸びが損なわれる。さらに昨今、地球温暖化対応が求められている中で、化石燃料由来の素材であるCBからバイオ素材への転換の要求が高まっている。

今回同社はCBの代替として、独自のバイオ素材であるリン酸エステル化CNFと天然ゴムを複合化したゴム素材を、信州大学/野口徹特任教授との共同研究によって開発した。新しく開発されたCNF/ゴム複合材は、天然ゴムの特長である伸びを損なわず、CB配合並みの硬さを有している(図、共同で関連特許出願済)。

CNF複合ゴム素材は今後、自動車産業をはじめとして各種産業において環境配慮型素材としての活用が期待されている。

同社では今回の開発品のサンプル提供を開始する。

問い合わせは同社イノベーション推進本部CNF創造センター(電話03・3533・7006、Eメールinv@oji‐gr.com)まで。