2022年12月5日

西部工業用ゴム製品卸商業組合
ホース商工懇談会を開催

原材料、納期主題
メーカー側が実情明かす

西部工業用ゴム製品卸商業組合(小島孝彦理事長)は11月25日、大阪市北区の中央電気倶楽部において「ホース商工懇談会」を開催した。ホース流通動態調査の結果報告が行われた後、賛助会員であるメーカーがホースの生産・販売状況について解説。同組合ホース部会からの提議に対しての商工間の情報交換が行われ、活発な議論が交わされた(詳報5面)。提議はホース部会の加藤廣部会長(西部ゴム社長)によって報告され、骨子としては〝需給がひっ迫しているシリコーン、フッ素ゴム(樹脂)の現在の動向〟〝品薄な製品における直近受注への対応〟〝メーカーからの納期長期化の傾向〟〝輸入品継手の特定品種の入手難〟などといった内容についての背景などが明かされた。司会は糸井宏之事業委員長(千歳商事社長)が務めた。

当日は、メーカーからは9社10人、商業社からは11社11人が出席。ほぼ均等に近い人数で話し合いが行われた。

会合の冒頭、あいさつに立った小島理事長(角一化成社長)は「ホース部会ならびに商工懇談会は年間に一度の割合で開催されているが、新体制が発足してからは初めての開催であり、今回は数年ぶりに懇親会も実施する。現在は、原材料高騰や円安といったさまざまな課題に悩まされており、われわれにとってはアゲインストの風に吹かれているが、諦めという結論を持ち出すわけにはいかない。先だってのワールドカップで行われた日本対ドイツの試合における勝利は、諦めという言葉の無意味さを証明してくれた。向かい風にあって、だれもが不可能と思われる状況にあっても、力を合わせて力を尽くすことで活路は開かれ、情勢を覆すことができる。本日もそうした認識を一段と強く持たせてもらえるような話し合いになることを願っている」と述べ、期待の気持ちを込めた。

第26回ホース流通動態調査の集計結果(令和4年10月実施、詳報次号)が加藤部会長によって報告された後、ホースカテゴリーごとにメーカーによる生産・販売状況の報告が行われた。一般ホースについては十川ゴム・大阪支社の瀬田光政課長が担当。日本ゴムホース工業会による「ゴムホースの生産・出荷および輸出入状況」のデータから状況報告。直近における生産・出荷動向として令和4年度(2022年度)の1―9月間の数値を示し、ゴムホース全体の生産量は新ゴム量ベースで、前年同期比0・8%増の2万4258㌧、出荷額は同1・2%増の1035億4800万円。内訳は、高圧用の生産量は前年同期比12・6%増の3823㌧、出荷量は同11・7%増の153億4900万円、自動車用の生産量は同1・8%減の1万6662㌧、出荷量が同1・2%減の760億3800万円、その他用の生産量が同2・2%増の3773㌧、出荷量が同5・1%増の121億6100万円となった。生産量、出荷額ともほぼ前年同期の実績を上回っており、半導体不足などの問題によって生産調整に入っていた自動車分野も着実に回復に向かっている状況が浮き彫りになっている。樹脂ホースについてはタイガースポリマー・大阪支店の植富男支店長、高圧ホースについては、住友理工ホーステックス・大阪事業所の大原浩所長が報告。樹脂ホースでは業界によって統計がまとめられていない状況から、樹脂ホースの主原料となっている軟質塩ビの生産出荷実績から推測。半導体不足や中国・上海のロックダウンの影響を大きく受けている状況を示唆した。高圧ホースについては、建設機械や工作機械、フォークリフトの生産出荷状況から推測。今年は主な需要業界が上向いていたものの、人手不足による工事物件の減少や、中国のロックダウンの影響により、建設機械業界の減速などにより、7―9月はマイナス傾向で推移している状況などが報告された。

ホース部会からの提議に対する質疑事項討議が活発に行われた後、会場を近隣のホテルエルセラーン大阪に移して懇親会を開催。乾杯のあいさつに立ったホース部会の長谷川哲也副部会長(キンキ社長)は「内容の濃い話し合いが行われ、非常に意義深い時間を過ごすことができた。理事長のあいさつの中でも取り上げられたが、サッカーのドイツ戦における日本の勝利は、前向きの気持ちさえあれば、どのような難局をも乗り越えられるという自信が得られた。今後も頑張りの気持ちを強く持ちながら、商工一体となってどのような苦境も切り抜けていきたい」と述べ、祝いの杯を上げた。

宴たけなわで中締めを行ったトヨックス・大阪支店の酒井博明支店長は「今回の話し合いにより、欠品は市場にとっての大きな問題であり、安定供給という課題がわれわれメーカーにとっての重要な義務であるという状況を再認識した。商工にとっての繁栄を理想の形で実現できるよう、今後の事業活動に取り組んでいきたい」と述べ、一本締めで幕を降ろした。