2022年12月20日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】
バンドー化学

前期を上回る高水準
稼働率上昇で交換需要増加

バンドー化学が手掛ける搬送用ベルト事業の最近の需要動向は、2023年3月期の上期(4ー9月)は国内のコンベヤベルトの販売は減少したものの、樹脂コンベヤベルトの販売は増加した。食品分野や物流分野がメインの需要先となっている樹脂搬送ベルトを取り巻く環境において、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が縮小する傾向にあることから、顧客の事業稼働率が上昇、交換需要も増加している。こうした状況に伴って、上期は前年同期を上回る水準で推移しており、同社としては通期においてもこの傾向が続くものと見ている。空港関連に関しては、新型コロナウイルス感染症による影響が継続、旅客者数はいまだ低水準にあることから補修需要の回復も遅れている。

価格改定に関しては原材料調達価格の高騰が続いており、同社では今後もこの傾向が継続すると予測。同社としては顧客への製品の安定供給を第一に原材料の調達に努めており、価格上昇分については生産性の向上やコスト削減などといった企業努力によって価格の維持に取り組んできたものの、価格高騰の水準は企業努力だけで吸収できる範囲を超える厳しい状況へとひっ迫、苦渋の決断ながら10月1日受注分より製品価格の改定に踏み切った。価格改定については、製品の安定供給や品質向上に取り組むための適正価格を維持するためには不可欠な決断であり、同社としては確実に浸透を図っていく。

業務を取り巻く環境としては、最近ではコロナ禍による規制が緩和される傾向にあり、これまでよりも対面による営業の機会は増加しているが、非対面での接触を求める顧客もいるここから、ウェブを活用した情報発信も引き続き強化していく。

ウェビナーの開催や定期的なコンテンツの追加を行うことによって、幅広い需要を取り込み、リアルとバーチャルとの組み合わせによる困りごとを解決する提案力を強化している。同社のホームページ内に開設されている特設サイト「BANDO SHOWROOM」もその一環で、これまで実績がなかった相手先との新たな取り引きが始まるなど、ウェブによる効果も順調に表れている。今後は一層のコンテンツの強化を図り、同社ではマーケティングと営業が連携・共有することによって顧客にタイムリーな提案ができるようホームページでの展開をさらに強化していく考え。

ゴムコンベヤベルトに関しては、カーボンニュートラルの流れが加速する社会的な風潮にあって、同社の今後の見通しとしては大きな需要先である製鉄、石炭火力などにおける需要については減少していく方向性にあると推測。しかしながら、こうした状況においても、飛散防止に貢献するパイプコンベヤや、搬送物の落下防止および搬送量の向上に貢献する非付着性ベルト「イージーリリースNeo」などといった特長を備えた製品に対する顧客の需要は底堅いものがあると見ており、今後も顧客の作業現場の改善に貢献する独自の特性を備えた製品の販売に力を注ぎ、事業の展開を活性化させる。

今年6月に開催された「FOOMA JAPAN」への出展においては、〝ミスターシリーズが食の安心・安全をサポートします!〟をテーマに、「ミスターN―スティック」「ミスターウルトラミラー」「ミスタースパイク」など、非付着性、耐湿熱性、耐薬品性などの機能を持つベルトに焦点を当て、搬送物の居つき防止、洗浄性、クリーン性を軸に、食の安心・安全に貢献する軽搬送用ベルトのラインアップを展示、来場者からさまざまなニーズをくみ上げることができた。

新製品については、食品用非付着性ベルト「ミスターシルキーコート」を本年5月に発売。高いはく離性と滑り性を両立させたベルトで、搬送物の粘着性を抑制することから手粉を振る必要がある場合であっても、手粉を残したまま搬送することができる。こうした用途においてニーズが高い製パン・製菓分野を中心に拡販を推進。今後に向けては、ただ搬送物を運ぶツールとしてではなく、ユーザーの生産性向上やメンテナンスの容易さなどといった、トータルに顧客満足度向上につながる高付加価値製品を開発していく方針。