2023年1月30日

日本ゼオン
米・Edge社買収

医療・ライフサイエンス分野
事業開発加速、欧米市場参入

日本ゼオン(田中公章社長)は、昨年12月28日付けで米国子会社であるZeon Specialty Materials(本社・カリフォルニア州、代表者・松本裕一氏)を通じて、マイクロ流路デバイス試作品の製造販売を行う米国のEdge Precision Manufacturing(本社・マサチューセッツ州、代表者・アンドリュー・カムホルツ氏、以下、Edge社)の株式を、米国の投資会社であるAnzu Partners(本社・フロリダ州、代表者・デビッド・セルディン氏)が運営するベンチャーキャピタルファンドなどの同社株主から100%取得した。今回の買収により、中期経営計画に掲げている新規事業探索分野の一つ「医療・ライフサイエンス分野」での事業開発を加速、加えて同分野の欧米市場参入を図る。

日本ゼオンは中期経営計画において、新事業探索として「医療・ライフサイエンス」「CASE・MaaS」「情報通信(5G/6G)」「省エネルギー」の4つの重点分野を掲げ、この4分野で2030年度売上高600億円増(19年度比)を目指している。今回の展開は、医療・ライフサイエンス分野の事業探索の一環であり、シクロオレフィンポリマーを活用した新規事業機会の獲得を目的としている。

日本ゼオンのシクロオレフィンポリマー「ZEONEX」「ZEONOR」は、〝低自家蛍光〟〝高光線透過率〟〝生体分子低吸着〟〝低不純物〟〝低溶融粘度〟といった特性を持つことから、基板にエッチング、微細切削加工、成形などの方法で作製したマイクロスケールの流路を有するマイクロ流路チップなどといった、分析用デバイスやバイオ医薬品容器などの生化学分析用途材料として採用されている。

同社素材を多く使用しているEdge社の買収により、昨年2月に買収したAurora Microplates社のマイクロプレートをはじめとする日本ゼオンの顧客ネットワークを活用し、シクロオレフィンポリマーを用いた生化学分析デバイスの成形品事業を強化する。加えて、マイクロ流路チップ上で極めて微量な液体を扱うための装置であるマイクロ流路デバイスの量産技術の開発に必要なリソースを同社から提供し、試作品から量産品の製造・販売事業へ展開する。

Edge社は、独自の圧縮成形技術による高精細・高アスペクト比を有する、医療・ライフサイエンス市場向けマイクロ流路デバイス試作品の製造・販売を事業として行っており、Anzu Partnersは、産業を変革する可能性を秘めた技術への投資に特化した投資会社として活動している。