ランクセス
トタルエナジーズと提携
トール油由来スチレン調達
ランクセス(マティアス・ツァハトCEO)は、フランスのエネルギーグループ、トタルエナジーズ社との間で、バイオサーキュラー・スチレンの調達に関する協力関係を結ぶことを発表した。トタルエナジーズ社が使用する原料は従来のスチレンとは異なり、パルプ製造の際の副産物として生成される樹脂由来のトール油をベースとしており、ランクセスはスチレンを使用して持続可能なイオン交換樹脂を製造。これらの製品は廃水処理や化学プロセス、食品産業で主に使用されている。
スチレンはISCC(国際持続可能性カーボン認証)Plus規格のマスバランス方式に基づき、持続可能な原料としての認証を取得。マスバランス方式においては、物理的に混合される認証原料と非認証原料は会計上では別の扱いとなる。この方式により、企業は複雑な生産プロセスを通して持続可能な原料を文書化して追跡することが可能となり、サプライチェーン全体を通してトレーサビリティを確立することができる。ランクセスもこの認証規格に準拠した製品を提供しており、製品の原料に関する透明性に依拠していることから、スチレンのISCC PLUS認証は重要な要件となっている。
顧客にとって、持続可能なソリューションを求める傾向はますます高まっており、カーボンフットプリントの低い原料は重要な役割を発揮。トタルエナジーズ社と提携することで、それぞれの顧客に向けたサービスをさらに拡大することができる。ランクセスとのパートナーシップにより、トタルエナジーズ社は持続可能な製品を提供し、顧客のカーボンフットプリントの削減に貢献できる。炭素強度の低い製品を開発する今回の提携は、2050年までにゼロエミッションを達成するというトタルエナジーズ社の気候目標に沿ったものとなる。
ランクセスは昨年8月、サプライチェーンの上流から下流まで、バリューチェーン全体を50年までにクライメイト・ニュートラルにする計画を発表(スコープ3)。この計画に組み込まれる間接排出は特に購入原料からの排出で、物流から最終製品に至るまでの排出も含まれている。自社の製造プロセスから発生する直接排出(スコープ1)および外部エネルギー源による排出(スコープ2)については、40年までのクライメイト・ニュートラル達成に向けた目標を19年に設定している。また、グリーン物流およびクライメイト・ニュートラルな製品のポートフォリオを拡大する計画も進めている。