2023年2月20日

日本風洞製作所
風洞試験センター設立

ニシヤマと協同で静岡・沼津に

コンパクト風洞システム「AeroOptim」など、各種風洞装置を製造・販売する日本風洞製作所(本社・福岡県久留米市、ローン・ジョシュア社長)は、ニシヤマと協同で自動車・自転車の風洞試験を行う「富士エアロパフォーマンスセンター」(静岡県沼津市小諏訪938―1)を設立。同社では1月26日、同センターの開所式を執り行った。

AeroOptimはキューブ状のユニット(全長約1・5㍍)を上下左右に連結することにより、送風面積を自在に設定できるコンパクト風洞。量産化によって従来のオーダーメード品との比較ではコストメリットに優れており、〝だれでも気軽に風洞実験ができる〟試験装置としてスポーツ競技、科学実験、耐風試験など幅広い分野の空力実験に活用できる。

新設された富士エアロパフォーマンスセンターではAeroOptimと、ニシヤマ、日本風洞製作所、大和製衡が3社で共同開発した世界最小クラスの自動車用てんびん(SLIM BALANCE)を組み合わせた「自動車用コンパクト風洞試験システム」を設置。また、自転車およびドローン向けの試験システムも兼備しており、これによって車体形状やエアロパーツ性能の評価など自動車の空力試験をはじめ、ロードバイクの空力試験やドローンの横風試験も行うことができる。

開所式で日本風洞製作所を代表してあいさつに立ったジョシュア社長は「従来の空洞は自転車ロードレースの選手などが空洞実験で使うにはコスト面でのハードルが高く、また人間が収まるサイズで設置するには小さなものでも全長30㍍以上となり、当センターの建屋にも入らないほどの大きさになる。これまで大企業や一部の研究機関だけが保有できる高嶺の花であったが、〝風洞をだれでも手軽に活用できるようにしたい〟という志を持ったエンジニアが集って当社は出発、その技術の結晶として生み出されたのがAeroOptimだ。当初は自転車専用のコンパクト風洞として2017年から展開していたが、やがて自動車・航空・建設業界といった幅広い分野からの大きな反響を得て、現在のキューブ型の仕様へと進化してきた。

当センターは関係者一同の夢を実現する施設であり、個人、法人を問わず風洞を有償で気軽に利用できるだけではなく、製品のショールームとしてコンパクト風洞を世界に普及させていくための出発点でもある。施設内は移動可能な仮設の壁で構築されており、これはさらなる設備拡充を想定してのことだ。当社設立時からのスローガンである『風洞の民主化』を体現する拠点として、今後も進化していく富士エアロパフォーマンスセンターにどうか期待して頂きたい」と、同センターの設立に込められた思いを表した。

引き続き、新たに設立された同社の子会社、日本風洞試験の株主であり、正規代理店を務めるニシヤマの西山正晃社長は「富士エアロパフォーマンスセンターは革新的な装置によって空気力学の実験ニーズを持つユーザーに、あまねく実験機会を提供していくだろう。当センターは日本空洞製作所が未来への第一歩を踏み出した象徴であり、国内を皮切りに世界に大きく飛躍を遂げる礎になると大きな期待を掛けている」と、来賓を代表して祝辞を贈った。

既に各方面から多くの引き合いが生まれている中、販売・開発のパートナーとしてニシヤマはオンラインで展開するPR動画の制作に着手。今後、コンパクト風洞装置および周辺機器を世界へと拡大していくため、ニシヤマでは日本空洞製作所と一枚岩となって事業展開にまい進していく。

開所式挙行後は、同センター内の見学会も実施。参加者は実車の配備された自動車用検査システムをはじめ、プロのロードレーサーが駆って測定デモンストレーションが行われた自転車用システム、さらにドローン用システムなど、担当者の説明を受けながら施設内をくまなく目にすることができた。

今後の同センターの運営の予定としては2月中旬からホームページの公開と予約の受付を開始。3月中旬の正式なオープン後、一般利用をスタートする。