2023年3月10日

信越化学工業
車載向け、シリコーンゴムを開発

高圧ケーブルの被覆材に最適

信越化学工業(斉藤恭彦社長)は、車載向け高圧ケーブルの被覆材に最適な成形用シリコーンゴム「KE―5641―U」を開発した。

電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)では、駆動システムの高電圧・大電流化が進展。これによりEV、HEV向けの高圧ケーブルには高い耐電圧特性が求められることから、従来の被覆材を用いた場合、絶縁性能を確保するためにケーブルの被覆層が厚くなることから、柔軟性が失われるという課題がある。自動車メーカーからは、配線作業の容易さへの観点から、柔軟性に優れた高圧ケーブルが求められている。

信越化学工業が独自に開発したKE―5641―Uは、これらの課題の解決に資する成形用シリコーンゴムで、新製品が持つ高い耐電圧特性により、高圧ケーブルの被覆層を薄くしても絶縁性能を確保。被覆層の薄さはケーブルの柔軟性向上につながるとともに、ケーブルの細径化、軽量化を実現する。

業界トップレベルの高い耐電圧特性を実現しており、絶縁破壊の強さは40㌔㌾/㍉㍍(同社従来品は26㌔㌾/㍉㍍)。シリコーンゴム製であることから耐熱性、耐寒性、耐候性、難燃性など、数多くの優れた特性を兼ね備えており、非シリコーン系の被覆材料と比較して、長期信頼性に優れている。

新製品は、車載以外の産業機械、鉄道設備、エネルギープラントなどに用いられる高圧ケーブルの被覆材にも使用が可能で、高性能化や信頼性の向上に寄与する。

信越化学工業は、これまで培ってきた技術力とノウハウを生かして高機能のシリコーン製品を開発し、供給することによって顧客のさまざまな課題解決に努め、持続可能な社会の実現に貢献していく。