2023年3月15日

住友ゴム工業
タイヤ事業サーキュラーエコノミー構想発表

「TOWANOWA」を策定

「TOWANOWA」構想のキービジュアル

住友ゴム工業(山本悟社長)は、タイヤ事業における同社独自のサーキュラーエコノミー構想である「TOWANOWA(トワノワ)」構想を新たに策定し、3月8日に神戸市中央区の同神戸本社の会場とオンラインとのハイブリッド形式によって「構想発表会」を開催した。この名称は、地球環境とモビリティ社会に永遠(TOWA)の輪(WA)を生み出し、持続可能な未来の実現に貢献していく同社の意思が込められている。今回、TOWANOWA構想を打ち出すことによって、今まで以上に同社では、事業運営を通じた持続的な社会の発展と企業の成長を目指す。

冒頭、あいさつに立った山本社長は「現在、企業が事業活動を行うにあたり、カーボンニュートラルなどの環境対応を踏まえた展開は不可欠であり、労働・人件問題をはじめとした社会問題も重要度を増している。モビリティ社会においてもCASE、MaaSの発展などにより大きく変革している。こうした環境にあって、〝Our Philosophy(未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる)〟の〝Purpose(私たちの存在意義)〟の具現化に向けたESG経営を推進していく。これまでの当社の展開としては、サステナビリティ長期方針として〝はずむ未来チャレンジ2050〟を発表し、環境型ビジネスの確立に取り組んでいるが、当社ではそうした行動指針をさらに発展させる目的から独自の循環型構想としてTOWANOWA(SUSTAINABLE VALUE RING)を策定した。永遠の輪という意味を込めており、目指す姿に向けて限りある資源を有効利用し、モビリティ社会を正面に据えたサステナブル社会の構築に貢献していく」と意気込みを述べた。

TOWANOWAは、タイヤ事業において効率的なモノの流れと資源の循環を目指す〝企画・設計〟〝材料開発・調達〟〝生産・物流〟〝販売・使用〟〝回収・リサイクル〟の5つのプロセスで構成された「データリング」と「サステナブルリング」で構成。企画・設計プロセスにおいてのデータリングでは、〝Tyre Lifetime Simulation〟によるタイヤ生涯性能設計、センシングコア取得データを駆使したタイヤ長寿命設計、モデルベース開発(MBD)、設計AIによるタイヤ軽量化・低燃費化の設計に取り組む。サステナブルリングでは〝SMART TYRE CONCEPT〟技術の進化によって省資源・性能持続性・安全性の向上を図る。これにより軽量化・低燃費・ロングライフ効果を引き出し、2027年の目標として、19年対比で、タイヤ重量20%の軽量化、転がり抵抗30%低減を果たし、次世代EVタイヤを27年に発表する予定。

材料開発・調達においては、サステナブルリングにおいては、サステナブル原材料の採用促進と高機能化、天然ゴム改質による性能向上と生産性改善を図る。データリングでは、〝ADVANCED 4D NANODESIGN〟によって高機能な材料設計、〝Tyre Leap AI Analysis〟によるゴムの性能劣化予測を図り、〝WAVEBASE(クラウドプラットフォーム)で材料開発の高速化を推し進める。提供価値としては、サステナブル原材料の採用や天然ゴムの調達持続性向上を通じて、資源循環の促進とCO2を削減。サステナブル原材料比率目標として30年に40%、50年にサステナブル原材料比率100%タイヤを実現する。

生産・物流では、サステナブルリングにおいては、タイヤ品質向上と開発効率化、タイヤ生産時のCO2抑制、タイヤ生産および供給ロス削減を推進。データリングでは〝Tyre Manufacturing Simulation〟による開発段階での品質精度を向上、AI・IoTプラットフォームによって設備予知保全、省エネルギーを実現し、デジタルデータ基盤を駆使して需給予測の高度化を目指す。提供価値としては、タイヤ鮮度管理効率化、在庫滞留抑制、物流効率化によってジャスト・イン・タイム供給を実現させる。30年の目標(21年対比)として、輸送時のCO2を10%削減、国内モーダルシフト30%を目指す。販売・使用においては、サステナブルリングでは、メンテナンスサービスの提案、多様なニーズに対応したタイヤの提案、高い安全性技術を搭載したタイヤの提案により、アクティブトレッド技術搭載タイヤへとつなげる。データリングでは、センシングコア、タイヤ空気圧センサー(TPMS)、非接触無線タグ(RFID)によって、データを活用したビジネスモデルを構築。提供価値としては、タイヤ空気圧管理、車輪脱落の予兆検知、摩耗状態の検知によるタイヤ適正管理サービスの提供を行う。「普及に力を入れる分野としては、大型タイヤの脱輪防止などといった社会課題の解決に向けた取り組みへの役割を強く認識している。すべての商用車へと普及を進めていくが、そういった観点から、提案していくことになると思う」(同社)。

回収・リサイクルにおけるサステナブルリングでは良質なリトレッド台タイヤの回収推進により複数回のリトレッドを実現、役目を終えたタイヤの回収推進、サステナブル原材料として再生利用を促進。データリングにおいてはセンシングコア、空気圧センサー、非接触無線タグによってタイヤ使用状況の把握・材料情報の管理を行う。提供価値としてはラストワンマイルに貢献、省資源化/コスト低減によってLTリトレッドタイヤの推進を図る。タイヤ原材料として使用、サーキュラーエコノミーの実現によってELT(End―of―Life Tires)の活用を推進する。

同社では、ESGのE(環境)を具体化した、TOWANOWAの実践により、Our Philosophyの具現化を推進、TOWANOWAの下、顧客や消費者にとって価値あるタイヤを持続的に提供できるサーキュラーエコノミー型の未来を目指す。