2023年4月20日

バンドー化学
e=Bone発売

医療の吸収性骨再生用材料

バンドー化学(植野富夫社長)の連結子会社であるAimedic MMT(本社・東京都港区)は、大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科学分野)、同工学研究科マテリアル生産科学専攻との産学連携の下、人工骨開発の研究プロジェクトを立ち上げ、共同で研究を行ってきたが、それによって得られた研究成果を用いて開発された吸収性骨再生用材料「e=Bone」(イーボーン)を、4月1日から販売した。

クラス分類は高度管理医療機器 クラスⅣで、一般的名称は、吸収性骨再生用材料、販売名はイーボーン。医療機器承認番号は30500BZX00011000。製造販売元はAimedic MMT。

現在、日本の骨欠損部に対する療法としては、患者自身の骨を採取し、移植する自家骨移植、人工骨移植、自家骨と人工骨を併用した骨移植術が一般的。自家骨移植は日本での骨移植術において約半数の割合を占めているが、採骨部の疼痛や感染といった合併症、骨粗しょう症を患う高齢者では、良質な骨を採取することが極めて困難であり、採取できる骨量に制限があり、肉体的および精神的な負担の増加などが問題とされている。人工骨移植の場合、量の制限はないものの、既存の人工骨は骨形成を促進する作用を有さないため、患者の骨と一体化する「骨癒合」に時間を要し、運動制限や社会活動復帰およびADL(Activities of Daily Living、日常生活動作)の遅延を引き起こし、それらが社会的損失の要因になることが問題とされている。

今回、Aimedic MMTでは、プラズマ処理により人工骨の表面を修飾することで人工骨に骨形成活性能力を付与させるという画期的な人工骨開発の研究プロジェクトを、大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学の海渡貴司准教授、同工学研究科マテリアル生産科学専攻の浜口智志教授の研究グループとともに、産学連携共同研究として立ち上げ、製品化に至った。

超高齢化が加速化している日本において、治療期間の短縮は急務の課題。骨形成を促進する作用を有する人工骨が開発できれば、早期の骨癒合が可能となり、早い段階でのリハビリの開始、歩行能力の早期回復の確保によるADLの改善やQOL(Quality of Life、生活の質)の向上、就労復帰までの期間の短縮に貢献できる。併せて、医療関係者および家族の介護負担の軽減、医療費全体のコスト削減のような医療資源確保への貢献も期待される。

e=Boneは、小さな空洞が連続する多孔体構造を有する人工骨表面に、アミノ基の構成成分である窒素を修飾。アミノ基は、細胞培養を行うシャーレ皿の表面改善などで利用されており、細胞接着性を改善することが証明されている。e=Bone表面に修飾されているアミノ基窒素により埋入後、細胞接着、骨芽細胞分化、骨形成の促進作用が期待され、人工骨内深部まで生体組織が速やかに侵入し、骨治癒の過程において十分な強度を確保しながら吸収または置換される。