アシックス
「ゲルライトⅢ CM1・95」世界同時発売
温室効果ガス排出量 最少スニーカー
説明会で特長等解説
アシックス(廣田康人社長CEO兼COO)は、市販スニーカーの中で最も少ない温室効果ガス排出量を実現したスニーカー「GEL―LYTEⅢ CM(ゲルライトスリー シーエム)1・95」を、9月22日にアシックスオンラインストアおよび直営店において全世界同時発売する。同社は発売に先立ち、メディア向け説明会を11日に東京都江東区のアシックスジャパン本社で開催し、同商品の詳細、開発背景などについて語った。
まず始めに、アシックスの鈴木豪執行役員、スポーツスタイル統括部長が登壇。昨年9月の発表から約一年が経過し、本商品を消費者に届けられることを発表。製品の特長等について解説を行った。本商品のポイントとして、鈴木執行役員は「カーボンフットプリントを最小限に抑えながら、機能性とデザイン性を両立させたのが特長で、アシックススポーツスタイルを象徴するスニーカーの一つである『GEL―LYTEⅢ OG』がベースとなっている。CO2排出量削減という観点で特にこだわったポイントは、刺しゅうによりアシックスストライプを表現、テープでの補強、互い違いに裁断できる裏材の3つ。環境負荷を低減しながらGEL―LYTEⅢ OGの要素をシューズに持たせることを意識した」と述べた。
GEL―LYTEⅢ CM1・95のミッドソールと中敷には、新たに開発された「カーボン・ネガティブ・フォーム」を採用。サトウキビなどを原料とした複数のバイオベースポリマーを配合することで、実質温室効果ガス排出を抑えながら、履き心地が良く品質を損なわないフォーム材となっている。アッパーと中敷には、環境負荷の低いソリューションダイという技法で染色されたリサイクルポリエステルが採用されており、アッパーの補強パーツには廃棄ロスの少ないテープ形状パーツを必要量のみカットし、折り返すなどして効果的に配置。これにより、材料の廃棄を最小限に抑えながらフィット感やサポート性を確保した。ホワイト系の落ち着いたカラー(クリーム×グレーシャーグレー)でまとめられており、靴底を厚めに設計することで、シーンや服装を選ばず着用しやすいデザインに仕上がっている。サイズは23・0~30・0㌢(1・0㌢刻み)、価格は1万9800円。
また今後の取り組みについて近年の消費者の意識の向上に関するデータを基に解説。「2022年Metriⅹ Labによって実施された国際調査によると、スポーツブランドへサステナビリティに対する取り組みを期待する声が高まっていることが判明。当社ではその購買変容にこたえるべく、機能性やデザイン性に加えて、サステナビリティという観点で今回での学びを生かしながら、イノベイティブなモノづくりを目指していきたい」と熱弁した。
続いて同社吉川美奈子サステナビリティ統括部長が登壇。「アシックスはスポーツをする環境を守っていくために環境目標を掲げており、2050年にはNet Zero、2030年までに2015年比でCO2を63%まで削減することを目指している」と説明しながら、本商品における温室効果ガス排出量の削減施策とそれによる結果について、「従来の商品と比較してパーツを50%以上削減することに成功。また材料調達から生産、輸送、使用、廃棄に至るライフサイクル全体で従来に比べ4分の1以下(8㌔㌘↓1・95㌔㌘)、特に材料と生産段階でCO2を80%削減している」と大幅な削減に成功したことを説明した。加えて、本製品の開発に踏み切った背景について、「本プロジェクトは当事者意識の高い次世代メンバーからのNet Zeroに向けた商品を開発したいという立案から始まり、その情熱と戦略に対して、社として経営資源を投下したことがイノベーションにつながった」と、経営戦略によるトップダウンと現場のボトムアップから誕生した製品であることを言及した。
続いてSDGsの専門家として企業のコンサルティングなどを行う慶応義塾大学大学院の横田浩一特任教授が「ステークホルダーとともに環境負荷の低い商品をグローバルで生産・販売することの難しさ」をテーマに、特別トークセッションを行った。同セッションには、吉川サステナビリティ統括部長に加えて同社サステナビリティ部GEL―LYTEⅢ CM1・95 プロジェクトリーダーの荒井孝雄氏を加えた3人でアシックスが取り組むサステナビリティに関する今後の戦略や展望についても議論を交わした。