ブリヂストン
EVへの走行中給電の実証実験
日本初、公道使用
10秒充電で1㌔㍍走行可能
ブリヂストン(石橋秀一Global CEO)は、東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本・清水研究室、日本精工(市井明俊社長・CEO)、ローム(松本功社長)、東洋電機製造(渡部朗社長)、小野測器(大越祐史社長)、デンソー(林新之助社長)、三井不動産(植田俊社長)、SWCC(長谷川隆代社長)、カーメイト(徳太勝社長)、千葉大学宮城研究室の共同研究グループとともに、電気自動車への走行中給電システムの研究を2018年より実施してきたが今回、柏の葉スマートシティ(千葉県柏市若柴173―5)内において、日本初の「公道における走行中給電実証実験」を開始する。
この実証実験は東京大学、柏市、その他関係機関と柏ITS推進協議会の枠組みによる「電気自動車への走行中給電技術開発の取り組み」によって実施される。今回の取り組みは、本年6月に国土交通省が公募する「道路に関する新たな取り組みの現地実証実験(社会実験)」として採択されており、今月~2025年3月まで、柏の葉キャンパス駅西口至近の市道において日本初の公道上における電気自動車への走行中給電技術の実証および社会的受容性の確認を実施する予定。
今回の社会実験により、道路政策ビジョン「2040年、道路の景色が変わる」にも掲げられた、低炭素道路交通システムの実現による地球温暖化の進行抑制に向けて大きな貢献が果たされるものと見られている。
柏の葉キャンパス駅を中心とした地域では、公・民・学連携により「柏の葉国際キャンパスタウン構想」に基づく先進的なまちづくりを推進。スマートシティを目指したさまざまな取り組みも実施されており、19年には「国土交通省スマートシティモデル事業(先行モデルプロジェクト)」の選定を受けて「スマートシティ実行計画」が策定され、新技術や官民データを活用しながら、都市・地域課題の解消に取り組んでいる。今回の取り組みはその一環で、東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本博志教授、清水修准教授らの研究グループ(以下、東大グループ)が17年にJST未来社会創造事業において「電気自動車への直接給電が拓く未来社会」として採択され、走行中給電システムの研究開発が進められてきた。
現在はブリヂストン、日本精工、ローム、東洋電機製造、小野測器、デンソー、三井不動産、SWCC、カーメイト、千葉大学宮城研究室の共同研究グループによって研究が行われている。今回の実証実験には、千葉大学宮城研究室の共同研究グループ(以下、同研究グループ)が研究・開発したシステムや技術を導入。実証実験は公道で行われることから、走行中給電システムを搭載した上で、ナンバー取得をした車両によって実験が行われる。実証実験で使用される送電コイルは東大グループによって設計が行われ、10秒充電することで一般的な電気自動車が1㌔㍍走行することが可能となる仕様となっている。
ポイントとしては、さまざまな車両に使うことができる走行中給電システムの実現させるためには、さまざまな車両のあらゆる状態に対応させる目的から、適切に電力をコントロールする技術が不可欠。同研究グループでは、電力を適切にコントロールすることによって電気自動車にもプラグインハイブリッド車にも使用できる走行中給電システムを実現した。標準化につながる走行中給電システムに向けては、送電コイルに常に通電をすることによって、送電コイル上に車両がないときには無駄なエネルギーを消費する状況を回避する目的から同研究グループでは、待機電力を極力小さくしながら車両検知を短時間で行う、新しい車両検知システムを開発。このシステムを駆使して公道において検証することによって、走行中給電システムの標準化に貢献する。
安全に使用するためには、路面として十分な耐久性を持ちながら、送電が可能なコイルの開発が必要となる。同研究グループでは、コイルと路面を一体化したプレキャストコイルが公道実証実験に耐えられる耐久性の検証を実施している。
今後は、公道での実証実験を25年3月まで継続する予定で、この実証実験の結果を反映させ、一段と発展させた走行中給電システムの開発を推進し、走行中給電社会実装の早期実現を目指す。