東レ
Hondaとケミカルリサイクルで共同実証
自動車用ナイロン6樹脂で
東レ(大矢光雄社長)は、本田技術研究所(本社・埼玉県和光市、大津啓司執行役社長、以下、Honda)と、使用済みの自動車から回収するガラス繊維配合ナイロン6樹脂の部品を亜臨界水で解重合し、原料モノマー(カプロラクタム)に再生する、ケミカルリサイクル技術に関する共同開発契約を締結、技術実証を開始した。
東レとHondaは、亜臨界水の樹脂への浸透性、溶解力、加水分解力が高いという特長に着目。共同で技術開発を行い、亜臨界水でナイロン6樹脂を解重合することに成功した。亜臨界水は亜臨界水の臨界点(374度、22㍋Pa)よりもやや低い領域の高温・高圧状態の水であり、有機化合物を溶解、加水分解する等、常温常圧水とは異なる特性を備えている。高温・高圧の水であることから、触媒不使用で添加剤の影響を受けることがなく、わずか数10分でナイロン6を解重合、高収率で原料モノマーを生成することができる。原料モノマーを分離・精製し、再重合することで、バージン材と同等の物性のナイロン6に再生することが可能となる。
この技術は、「環境省令和5年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)(補助)」に採択。これを活用し、原料となる年間で樹脂処理量500㌧規模のパイロット設備の導入および実証実験を進める計画。期間は本年7月~2026年3月(予定)。代表事業者は東レで、共同実証事業者は本田技術研究所。
まずは使用済み自動車用樹脂部品を、同じ自動車用材料に再生する状況を目標とし、エンジン吸気系部品のインテークマニホールドを原料とした解重合やモノマー分離・精製技術の開発を推進。自動車用樹脂部品のケミカルリサイクル技術として、2027年近傍の実用化を目指す。
将来的には、衣料やフィルムなど、自動車以外の用途にも本ケミカルリサイクル技術の適用範囲を拡大、この取り組みへの参画企業を募り、日本国内でナイロン6のケミカルリサイクルスキームを構築することによって、資源循環社会の実現、温室効果ガスの削減に貢献していく。