2023年10月20日

ソディック
大型FCV金型加工

フェムト秒レーザ加工機

ソディック(古川健一社長)は、リニアモータ駆動によるフェムト秒レーザ加工機「LSP5070」を開発し、来年1月より受注を開始する。レーザが、フェムト秒(1000兆分の1秒)単位で発振される超短パルスレーザ加工機で、同じエネルギーの場合、パルス幅が短いほど強度の高いレーザが生成され、加工領域の熱損傷を低減し、パルス幅の広いレーザよりも高精度で美しい加工が可能になる。

新製品のLSP5070は、長年培ってきたリニアモータ制御技術と最先端のフェムト秒レーザ技術、AI(人工知能)機能、IoTプラットフォームなどを融合、汎用性や高速性を追求。大型材料の加工に対応したリニアモータ駆動によるフェムト秒レーザ加工機となっている。

主要ターゲットとなるユーザーとして、大型FCV(燃料電池車)の燃料電池用、金属セパレータ金型の加工向けを想定。しかしながらFCVは、1台当たり約800枚のセパレータが必要とされていながら、現在多く使用されているプレス金型鋼による「SKD11」では、耐久性の問題から約20万枚しか打てず、難加工ながら超硬度を特長とする粉末高速度工具鋼は10倍以上の耐久性を持つとされており、これらの課題を解決する加工機に対して注目度が上昇。LSP5070は、超硬度粉末高速度工具鋼製の金型加工を前提とした精度および速度を実現している。FCVは、エネルギー効率が高く、走行時にCO2や大気汚染物質の排出がゼロであることから〝究極のエコカー〟として期待も上昇。今後、価格も下がることが予想され、建設機材や長距離トラックなどといった大型車両を中心に、普及台数目標は2025年までに20万台、30年代までには80万台へと市場拡大の期待が高まっている。

LSP5070の主な特長としては、同社マシニングセンター最上位機種「AZ275nano」に用いたアクティブ除振システム〝カウンタテーブル機構〟を採用。加工テーブルと逆位相に駆動するキャンセル軸を搭載。反作用を打ち消す独自構造により移動時における振動を極限まで抑制すると同時に、重心変化抑制効果により床の剛性にかかわらず機械の姿勢を一定に保ち光軸の安定化を実現している。30~80(一辺30~80㍉㍍の正方形)のテレセントリック光学系(ワークに垂直にレーザを照射)、エフシータレンズによる大面積加工ごとの移動経路を、AIによって最短距離を算出することによって移動時間短縮を実現した。5軸ガルバノ(オプション)選択により、穴あけ対応可能。大型車用燃料電池金属セパレータサイズに対応し、機械構造は要望に応じて、カスタマイズ対応している。

【LSP5070の主な仕様】
▽ガルバノ=2軸(5軸はオプション対応)

▽レーザ=IR(赤外線)1030nm、Gr(Green緑)515nm、UV(紫外線)343nmの3種類に対応し選択可能、搭載している発振器「Amplitude」(仏製)の場合
▽各軸移動(X軸×Y軸×Z軸)=500×700×200㎜
▽最大ワーク(幅×奥行×高さ)=500×700×200㎜
▽機械大きさ(幅×奥行×高さ)=2200×2650×2300㎜
▽機械本体質量=8000㎏
▽電気容量=3相 AC200V+-10%(50/60㎐)20kVA

なお、フェムト秒レーザ加工機は、カスタマイズ対応として受注生産することを想定しており、規定仕様以外のサイズについても受注客の要望に応じて対応する計画。販売予定価格(税別)は1億2000万円からで、生産目標台数は年間6台。