2023年11月10日

三洋化成工業
複雑で多様な匂いを可視化

匂いセンサー「フラボトーン」

三洋化成工業(樋口章憲社長)は、複雑で多様な匂いを可視化することができる匂いセンサー「FlavoTone(フラボトーン)」の販売を開始した。FlavoToneは、特定の匂いだけでなく複雑な匂いの可視化ができることから、匂いによる品質管理、特性比較、モニタリングといったソリューションを提供することが可能となる。同社は、FlavoToneを通して匂いに関する課題を解決し、より良い社会インフラづくりに貢献していく。

人間は、五感によって情報を集め、状況を把握することで判断。このような感覚に頼った指標は表現があいまいで、人による感じ方も異なり、データの信頼性や再現性が保たれないことや、データの共有・蓄積が難しいなどといった課題があった。そのため五感の代替として客観的に感覚を可視化するセンサーへのニーズが浮上。嗅覚を可視化する匂いセンサーは、医療・食品・環境・安全など幅広い分野への応用が期待されている。しかしながら、匂い成分の種類は膨大であることから、匂いを認識するメカニズムも複雑で、不明確な部分も多いことから、五感の中で最もセンサーの開発が遅れている。これまで特定の匂いを検出する匂いセンサーは数多く開発されてきたが、複雑な匂いを人間の鼻のように識別できるテクノロジーについての本格的な社会実装は進んでいない。

人間の鼻は、匂い分子が嗅覚受容体に吸着すると嗅覚細胞から電気的な信号が発せられ、その信号が脳に伝達されることで匂いを識別。同社が開発したFlavoToneはこの嗅覚と同様のメカニズムで、嗅覚受容体に相当する匂い応答材料、匂い分子が吸着することによる電気特性の変化で匂いを検知するプローブ、得られた信号パターンから匂いを識別する解析アプリからなり、複雑な匂いを可視化することができる装置として開発された。

複雑な匂いを可視化できるようにしたキー技術の一つが、プローブに用いた匂い応答材料で、匂い応答材料は同社独自設計に基づいた樹脂材料、添加剤、導電材料などで構成されており、匂い分子が吸着すると膨潤する性質を保有。従来の匂いセンサーの応答材料と比べて、匂い分子に対する応答特性を幅広く変えることが比較的容易で、FlavoToneでは、応答特性が異なるプローブを複数搭載し、これらを組み合わせることによって、複雑な匂いでも識別することを可能にした。雰囲気中の湿度など、外部環境の影響を比較的受けにくい点でも優れている。

FlavoToneは複雑・多様な匂いを識別することが可能で、シンプルで拡張性も高い。外部環境の影響を受ける可能性も低く、安定したセンシングで再現性も高い。測定対象によって使用するプローブの種類や数のカスタマイズが可能。ガスクロマトグラフィーのような複雑な測定メソッド・前準備が不要で、測定時間も比較的短い。

得られたデータを機械学習に解析させるアプリケーションも搭載しており、食品業界、医薬品・化学業界、自動車業界での品質管理のほか、特性比較、モニタリングなど、ニーズや用途に合わせてアウトプットできる。同社ではFlavoToneにより、食品、医療・ヘルスケア、香粧品、安全・防災、工場、環境など多様な分野において効率・利便性・精度向上、異常検知、マーケティング・ブランディングの促進など、新しい価値を提供できるものと考えている。

さらに同社では多くの企業・研究機関が幅広い用途開発に取り組めるよう、機器の販売だけでなく、レンタルや受託分析に加え、個別の課題に対するソリューション提案などのサービス提供も実施している。