2023年11月20日

【ホース・チューブ・継手特集】
十川ゴム

さらに効率的な営業活動を
外部環境に屈せず計画必達にまい進

十川ゴムが手掛けるホース・チューブ事業の今期(2024年3月期)上期の業況は、売り上げは前年同期比で若干の減少となった。前期は比較的好調であったが、今期は堅めの計画で推進しており、ほぼ予定通りの進ちょくとなった。

需要業界別の状況としては、ゴムホース類についてはガス産業用が増加しており、この分野については今後とも右肩上がりで拡販が進んでいくものと同社では見込んでいる。また設備装置産業用、土木・建設機械産業用も好調を維持しているものの、油圧機器産業用は高圧ホースの動きが昨年に比べてやや低調。自動車産業用についても前年同期の水準には達していないが、顧客自動車メーカーの部品調達面の問題解消に伴う生産の持ち直しによって下期からは大きく伸びていくことを見込んでいる。船舶・車両産業用も上期は振るわなかったが、現在、下期以降に集中している案件の納期対応に向けて工場では作り込みに余念がない。樹脂ホースは農業・園芸産業用や住宅設備産業用の動きが鈍化しているものの全体としては、下期以降は自動車産業用や船舶・車両産業用で受注を着実に取り込むことで、通期では前年比2~3%増を見込んでいる。

今後のさらなる拡大に向けて注力する分野は半導体、食品関係、医療産業用など。特に医療機器産業用では、従来までの型物製品に加えて、押出チューブ製品においてもクリーンルーム設備を完備し、2024年度中には押出チューブ製品の販売展開を進めていく考え。既に同社では経済産業省主導による「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業費補助金」の対象企業として採択されている。これまで長きにわたって医療用薬栓で培ってきたノウハウを生かし、最先端のバイオ医療においても高品質な医薬用チューブでユーザーに貢献していく。

製品開発面では、顧客の個別ニーズに対応した開発をさらに推進。これに伴い、硬質軟質二色樹脂成形設備や液状シリコーンゴムLIM成形設備の増設など、新たな分野での需要喚起に不可欠となる設備投資を、現在は積極的に推進している。

現状の喫緊の課題としては、開発案件や生産品目が多岐にわたることで新規開発に携わる技術スタッフの不足や、設備導入に必要なスペースの確保などの問題が顕在化。こういった課題も含めて開発および生産拠点での対応策としては、ベテランスタッフの〝匠の技〟への依存度が高かった製造技術を機械化に移行したり、新設備へのAI機能の付与など、さまざまな側面からの検討を重ねている。

また、一層の効率化に向けた業務改革にも余念がない。従来の営業報告書・営業日報といった全社的なデータ共有化に加えて、日計データの管理が即時に可能なダッシュボード機能アプリを導入し、今期下期からの運用をスタートさせた。これによって社内のさまざまなデータの一元的な管理を実現した。日々の業務の見える化によって、より正確な分析と迅速な決定をフォロー。本社の営業部門はもちろん、各営業店長、各担当者も精査された情報を随時活用し、さらにアクティブで効率的な営業活動につなげていけるものと同社では大きな期待を掛けている。

ここ数年、収益を圧迫する大きな課題として立ちはだかっている原材料、物流費、ユーティリティコストといったコストアップについては、今期に入ってからも高止まりが継続。原材料については品種によっては落ち着きを見せているものの、物流費は「2024年問題」を背景に運送会社よりさらなる値上げが想定されており、また便数そのものの不足によって出荷分すべてを運ぶことが困難となる可能性もはらんでいるという。同社ではこういった事態を慎重に見守りながら今後の対応策を模索しているが、これからも厳しい外部環境に決して屈することなく、拡販と効率化の取り組みをさらに加速させながら今期の計画必達に向けてまい進する。