2024年4月30日

日本ゼオン
新たな共創イノベーション施設

川崎市拠点内に建設
世界に向けた技術発信拠点

日本ゼオン(豊嶋哲也社長)は、川崎臨海部に立地する同社川崎工場と総合開発センターの敷地内に、社内外に開かれた新たな共創イノベーション施設の建設を決定した。同社は首都圏に位置する両事業所の立地優位性を生かし、世界中の顧客やパートナー企業と共創する空間を提供し、同社が保有するコアテクノロジーとの融合を図ることによって新製品開発を加速させる。また同施設を起点として、この地が日本ゼオンのイノベーション発信の中心となり、川崎工場が「研究開発型工場」として飛躍する未来を描いている。今後同社は、製品設計から製造技術の作り込み、事業化推進のサイクルを高速で回すことで連続的なイノベーションを実現していく。

同社の川崎工場と総合開発センターが立地する川崎臨海部は、ライフサイエンス関連の先端企業等の集積が進んでおり、新たなビジネス創出の街へと急速に変ぼうを遂げつつある。加えて、多摩川スカイブリッジの開通によって対岸の羽田空港周辺地域とのアクセスが格段に向上し、ヒト・モノ・ビジネスの交流活性化による国際的な競争力強化と、経済の持続的な発展に寄与することが期待されている。

この立地優位性と、工場と研究所が隣接する強みを生かし、社内外との連携強化の拠点として共創イノベーション施設が誕生する。同社が中期経営計画STAGE30で全社戦略に掲げるリチウムイオン電池向けの材料開発では、同社の強みである電池評価・解析技術を駆使し、顧客の困りごとを早期に発見し、製品開発のスピードを高めるためのオープンラボの機能を整備。新たな電極製造方法であるドライ成形技術のプロセスや材料開発にも対応していく。

同施設は近隣研究施設やスタートアップとの共創研究室のほか、高速、高信頼性の製品開発が可能な最大規模の顧客共創オープンラボ等が同じ建物内に共存するだけでなく、工場と研究所の社員が同じフロアで執務し、「集える場所」「偶発的な出会い」を実現する、今までにないボーダーレスな空間となる。〝社員が誇りを持ち、働きたくなる場づくり〟が設計に反映されたこの舞台から、新たな発想の交流で生み出される技術と製品が、世界に向けて次々と発信されていくことが期待される。さらに、災害対策の機能・設備として耐震性と津波リスクを考慮して配置される工場中央コントロール室、防災センター、地域避難所のほか、高効率設備や太陽光パネルの導入による省エネと創エネも導入される。

同社では「この共創イノベーション施設は、当社の中計STAGE30における2030年ビジョン〝社会の期待と社員の意欲に応える会社〟の実現や、その先を見据えたイノベーションの創出に向けた挑戦への象徴的な存在となっていく」としている。

川崎工場は1959年、わが国で初めて合成ゴムの量産を開始。自動車のベルト、ホースなどに使用される耐油性・耐熱性に優れた特殊合成ゴム、ゴム手袋や化粧用パフにも使われる合成ラテックス、リチウムイオン電池向け材料を製造する首都圏に位置する主力工場。敷地面積は7万5500平方㍍、今月1日時点の従業員数は209人。総合開発センターは59年、川崎工場と隣接した敷地に開設。製造現場に近いことで製造と技術の一体化を図ることができるとともに、柔軟で効率的な研究開発体制を整えている。敷地面積は1万5000平方㍍、今月1日時点の従業員数は460人(川崎地区勤務者)。

【新施設の概要】
▽所在地=神奈川県川崎市川崎区夜光1―2―1(日本ゼオン川崎工場/総合開発センター内)
▽敷地面積=約4000㎡
▽建屋延床面積=約2万3000㎡(8階建)
▽完工時期=26年度