三ツ星ベルト
「’24中期経営計画」発表
成長加速期間と位置付け
26年度目標 売上高915億円
’24中期経営計画 2026年度(最終年度)のKPI
三ツ星ベルト(池田浩社長)は5月20日、東京都中央区の東京本社で開催した「決算説明会」において、2024~26年度までの3年間を計画期間とする「’24中期経営計画」を発表した。
同社は22年5月、2030年度の「ありたい姿」を発表するとともに、コロナ禍の中で策定した「’24中期経営計画」の見直しを行った。これを機に企業価値向上を強く意識した資本政策へ転換し、収益性向上とバランスシート改善に取り組み、この間も感染症対策、サプライチェーンの混乱、インフレ、資源価格高騰や地政学的リスクの高まりなど予断を許さない経営環境が続いたが、各種施策を着実に実行した結果、同社の時価総額は22年3月末の660億円から本年3月末には1452億円と、2年間で2・2倍となった。今後も取り巻く環境は不透明で不確実性を伴うものと予測されるが、変化にぶれない強い企業体質の確立を進め、30年度のありたい姿の実現を目指す。
今回策定された新中計は、30年度のありたい姿に向けた第2フェーズとなる。前中計は基盤強化期間、当中計は成長加速期間として位置付けられている。今年は中堅企業元年と言われ、日本政府は中堅企業の発展を後押ししている。中堅企業である同社にとって成長加速の絶好の機会ととらえ、30年度のありたい姿の早期達成も視野に入れて取り組んでいく。
同社は基本理念「人を想い、地球を想う」の下、経営基本方針である「高機能、高精密、高品質な製品の提供を通して社会に貢献する」ため、グループ社員の力を掛け合わせ、100年の歴史で培った〝カガク〟のチカラで人々の快適な暮らしを支える会社となるよう、社訓である「今日に誇りを持ち、明日に希望を託し行動する」。
30年度のありたい姿へ向け、変化にぶれない強い企業体質を確立するため、コア事業の体質を強化し、さらなる収益性の向上、持続的成長が可能となる新たな成長分野への投資として環境配慮型製品の開発および販売体制の強化に加えてM&A、オープンイノベーションにより売上高1000億円、営業利益130億円、財務体質の強化から、資本効率の向上への進化を図りROE10%を計画している。
前中計の23年度実績は売上高は主に自動車部品、建設資材の販売が拡大し、目標であった800億円を超えて840億円、営業利益は収益性の高い補修市場向けベルト販売が市中在庫調整の影響を受け77億円と未達に終わった。ROE7・6%、政策保有株式売却額15億円(中計期間)、3年間の設備投資は228億円。CO2排出量は、13年度比で22%以上を目標値として掲げていたが、脱炭素化推進への積極的な取り組みによって同35%と大幅に削減した。
新中計の最終年度である26年度のKPI目標として売上高915億円、営業利益105億円、ROE9%、政策保有株式売却額50億円(当中計期間)、当中計期間の設備投資は200億円(M&A含まず)、DOE(株主資本配当率)の目安5・4%程度、1株当たり配当金180円以上、当中計期間の自己株式取得30億円、ESGについてはScope1&2国内8拠点のCO2排出量削減目標値は13年度比40%を掲げている。
また企業価値向上のため、収益性向上およびバランスシートマネージメントの進化に取り組む。収益性向上では▽人財戦略強化▽DX化推進▽技術開発強化▽事業ポートフォリオ最適化▽共創型事業戦略推進を、バランスシートマネージメントにおいては▽成長投資、経営基盤強化▽資産効率向上▽株主還元を推し進める。
個別の事業戦略については、顧客価値に着目した共創型ビジネスモデルの推進を基本方針とし、自動車部品分野では30年度にはコンベンショナルタイプICE(内燃機関)の円輪車生産が半分程度(19年度比)となった場合、売り上げが約60億円減少すると推定。電動化対応製品、二輪・多用途四輪車向け製品、補修市場への拡販によってこれを大きく上回る売り上げ(100億円増)を確保する。産業機械分野では変化する社会経済環境の下、さまざまな顧客ニーズを的確に把握し、タイムリーな製品開発によって、グローバルマーケットシェア向上とブランド力向上を図る。建設資材分野は建築・土木防水、土木遮水市場への製品、工法および工事を通じ、省エネと長寿命化、自然環境の保全、インフラ整備などの社会課題解決に貢献する。電子材料・開発製品分野・新規分野については、デジタルイノベーションにより生まれる新たな価値や社会の変化を商機とし、情報化・電動化社会の発展に寄与する製品の提供を行うとと同時、顧客・市場のニーズを的確に把握し、独自性の高い各種エレクトロケミカル材料の開発・製造・販売を行う。
企業価値向上への取り組み