2019年10月25日

日本ゴム機械懇話会
「第44回JRM例会開く」

会員各社が業況報告
兵頭税理士による講演会も

日本ゴム機械懇話会(JRM、高木康彦会長)は10月9日、静岡県浜松市のエクシブ浜名湖で「第44回JRM例会」を開催した。
当日は会員15社、報道を含めた総勢22名が出席。会合では会員各社が事業の近況を報告しあったほか、税理士の兵頭文男氏を講師に招き、改正相続税に関する講演会も開かれた。

例会は世話人を務める石川原圭副会長の司会で進行。玉置篤会計担当の開会宣言に続いてあいさつに立った高木会長は「われわれが事業を展開するタイヤ、自動車部品、工業用品、半導体、OA、樹脂、メディカル分野では、4―6月の業績は大半のユーザーが減収減益となっている。
7―9月においても、政治下の影響もあって急激な回復には至っておらず、今後の市場環境については厳しさを増してくると予測している。日本の自動車産業は好調な時期がここ数年続いたが、率直に言えば需要に陰りが見え始めており、いっそう事業環境の変化のスピードは加速していくと思われる。
ただ、われわれJRMのメンバーはオーダーメードの機械を手がけており、現状ではこれまでの受注残と新たな受注で大変忙しい状況が続いている。今日はそのような近況のほか、グローバルな知見に基づいた今後の方向性など会員各社の忌憚ない意見を伺いたい」と出席者の活発な情報交換に期待を寄せた。

JRMのメンバー

引き続き、新たな参加者として、和光精機の森茂幸社長と中田エンヂニアリングの井尻有一営業課長が自己紹介を行った。

恒例の会員企業による近況報告では、ある3月決算のメーカーは「今期上期の業績については、売上高は非常に好調に推移しており、営業利益においても計画を大きく上回り、計画対比で200%超となった。大型の成形機のほか、ドイツ企業との協業機種の大量受注などが売上げをけん引した。下期の見通しとしては、前半が好調であっただけに若干の減収計画で推進しているものの、通期の業績については計画をクリアして増収増益を見込んでいる」と好調な業況の一端を垣間みせた。

また、9月決算のあるメーカーは「18年度においては過去最高の売上高を達成したが、19年度は前年なみ、もしくは若干のプラスで落着きそうだ。今後の見通しについては、昨年同期の受注量と比較すると大きな隔たりがあり、先行きへの不透明感は強まっている。
売上構成比は更新需要が中心となっているものの、一方では現状の機械を“上手に使っていきたい”というニーズも多く、今期では新しい機械の拡販について慎重な見通しを立てている。今期の方針としては、現状では国内需要の売上比率が高いため、伸びしろがある海外販売の強化をさらに進めていきたい」と今後の展望について述べた。

ほかにも、ガスケットやゴムパッキンの加工など、ゴム関連でも多くの実績を持つプロッターマシンの販売を手掛ける企業は「19年8月期の決算は売上高、利益面ともほぼ横ばいとなり、若干前期を上回る業績で着地した。
今年の販売状況としては、大型機の受注が売上げに貢献しており、コンベアテーブル関連の需要も引き合いが増えている。また、既存ユーザーの追加購入や、顧客同士の紹介による案件も販売の追い風となっており、これまできめ細やかなアフターサービスと地道な営業活動に取り組んできた成果が、ここにきて実ってきたと感じている。今年も昨年に引き続き、6月に東京営業所でプライベート展を開催したが、新しい機械とオプション群が注目を浴び、5日間の日程は予約で満杯で大変盛況となった。今回は特にベルト関係の来展者が多く、長尺カットに課題を抱えるユーザーの間で精度の高い作業ができると評判を呼び、デモ実演を通して実証を示せたことで新規の受注を獲得することができた」と独自性の高い機械の性能に自信をにじませた。

全体的には、需要のタイミングと強弱に違いはあるものの、年度を通してみると堅調な業績を維持している企業が多いようだ。ただ、今後の見通しについては不透明感が色濃く漂っており、近年の大きな課題となっている人材不足のほか、“働き方改革”の導入による工数の不足、それに伴う納期対応の問題など、今後の打ち手について模索を続けている現状が浮き彫りとなった。

近況報告の後は、兵頭文男税理士事務所の兵頭代表が「改正相続全般について」をテーマに講演を行った。

すべてのスケジュール終了後、山中亨副会長は、戦国三武将を表現した有名な詩を野球界の名将に例えた話を閉会のあいさつの中で紹介。「野村克也氏は“鳴かぬなら頭を使えホトトギス”、長島茂雄氏は“鳴かぬなら替えてしまえホトトギス”、星野仙一氏は“鳴かぬなら気持ちで鳴かせろホトトギス“ということであったが、われわれJRMのメンバーは、やはり頭を使って今後の厳しい情勢を打ち破っていきたい」と締めた。

次回のJRM例会(総会)は関西地区が担当となっており、来年4月8~9日の2日間、会場は京都府または滋賀県内での開催が予定されている。