2020年4月25日

デンカ
使用済みPS樹脂ケミカルリサイクル事業化へ

米企業と技術ライセンス契約

デンカ(山本学社長)は、同社の持分法適用関連会社である東洋スチレン(本社・東京都港区、松下三四郎社長)を通じて、使用済みPS(ポリスチレン)のケミカルリサイクル事業化に向け、プラスチックリサイクルのグローバル企業であるアジリックス社(本社・米国オレゴン州ポートランド、ジョー・ヴィランコートCEO)と、日本国内市場における技術ライセンス契約を締結した。デンカの千葉県市原市の千葉工場内に、使用済みPSを熱分解し、その原料であるSM(スチレンモノマー)を再生する年間処理能力約3000㌧の実証設備の建設に向けた具体的検討に着手。2021年度末の操業開始を目指す。

プラスチックは社会生活に欠かせない素材である一方、使用後の海洋流出により生態系への悪影響や、石油由来原料の使用による温室効果ガス増加などといった問題が顕在化、国際的な重要課題となっている。デンカグループにおいても、地球環境保全に積極的に取り組んでおり、プラスチックを扱う化学メーカーの責務として、環境負荷抑制への厳格な管理とともに、省資源・省エネルギーに向けたたゆまぬ技術革新にまい進。従来のプラスチックリサイクルの手法は、使用済みのプラスチックを粉砕し、再度溶融した上で製品を成形するマテリアルリサイクルという手法が取られており、特に食品関連容器への利用には一部で制約があった。

今回の方式は、ポリマーからモノマーへの熱分解が容易というスチレン系樹脂の特徴を生かしたケミカルリサイクルという手法で、リサイクルスチレンモノマーから製造されたポリスチレンの用途には、制限がないという画期的な手法になっている。CO2の発生量も通常の生産方法と比較して半減させることができる。

デンカでは、東洋スチレンのケミカルリサイクル事業を全面的にバックアップするとともに、政府機関、関係団体との連携にも協力していく。