2020年6月15日

日本建設機械工業会
数見氏(住友建機社長)会長に

日本建設機械工業会は、5月28日に開催を予定していた「令和2年度通常総会」を、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて書面によって開催した。役員の改選期でもあり、通常総会後には理事会を開催し、新会長として数見保暢氏(住友建機社長)を選任した。

就任のあいさつで数見新会長は「昨年以降、世界経済の先行き不透明感が続く中、日本では大型台風の被害などにより建設機械業界は大きな打撃を受けた。年明けから世界的に新型コロナウイルス感染症拡大という難局に直面し、足元の世界経済は著しく縮小し大変厳しい状況に陥っている。このような局面において会長職に就任することとなり、まさに身の引き締まる思いに包まれている。前小川会長はじめ歴代会長が残された功績により日本建設機械工業会は、今年度で創設30周年を迎えることができた。この大きな節目を記念して、今回の定時総会では各種イベントを実施するための準備を進めてきた。しかしこのような状況にあっては思いもかなわず、本年度に開催を予定している工業会行事のいずれかのタイミングを見計らって、準備していた企画を実現させたいと考えている。

現在、世界中で新型コロナウイルス感染拡大が実体経済へ大きな影響を及ぼしている。まずはこの難局対応が喫緊の課題であり、会員各社におかれては感染防止対策を実施しながら、お客様が必要とする製品や整備という要望にしっかり対応し、経済活動の早期回復に寄与することが当面の建設機械工業界の使命と考えている。

中長期的には、工業会の設立理念である〝調和と発展による世界への貢献〟ならびに〝共生と競争〟の下、新しい技術への対応を重要な活動分野として引き続き取り組み、世界中で持続可能な社会の実現に寄与したいと思う。新型コロナウイルス感染防止対策では、在宅勤務や通信網を活用した会議開催など、働き方改革の一端を身をもって体験したことは一つの収穫でもあり、これらを貴重な経験や機会として活用、発展させ、多用で柔軟性ある働き方を進めることも生産性の向上やワークライフバランスの実現に重要な活動と考えている。工業会としても新しい活動の在り方を考え、変革していきたいと思う。社会からの要請として法令順守の事業活動がより重要視されるように変化してきているという認識があり、会員各社の事業活動と工業会活動が健全に発展できるよう関連行政当局の指導を仰ぎながら工業会の運営にあたりたい」と今後に向けての意欲のほどを示した。

小川啓之前会長(コマツ社長兼CEO)は「昨年5月に会長に就任してから一年間、皆様の多大なるご支援、ご協力を賜り、微力ながら建機工会長として職務を果たすことができたことに感謝している。この一年を振り返ると、米中貿易摩擦、保護主義の拡大、英国のEU離脱、自然災害の増大、そして新型コロナウイルス感染拡大など、われわれの企業活動に大きな影響を及ぼす出来事にさらされた。日本を含め世界の建設機械市場においては今後、不確実で不透明な状況が続くことが予想される。

このような厳しい市場環境にあって、建機工は今年設立30周年の節目を迎えた。新たなステージへと進んでいくことになるが、設立理念の下、特に重要な活動分野として掲げている東日本大震災をはじめとする地震や豪雨による自然災害からの復興への貢献、環境・省エネルギーに対する対応、会員各社のグローバル展開支援、i—コンストラクションなど新しい技術への対応についての取り組みは継続される。建機工設立30周年にあたり企画・推進してきた業界全体のイメージアップについては当業界に若い人材や女性を取り込み、ダイバーシティを推進する上でも非常に重要な活動であり、こちらも引き続き取り組みをお願いしたい。今後は副会長の立場で、数見新会長を支援し、建設機械産業のさらなる発展と持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたい」と述べ、新会長に期待を託した。