2020年7月5日

日本ミシュランタイヤ
スタッドレスタイヤ新製品発表会

38年の冬用タイヤの技術集結

日本ミシュランタイヤ(ポール・ペリニオ社長)は6月30日、オンライン配信によって「スタッドレスタイヤ新製品発表会」を行った。会見にはペリニオ社長も出席。同社によるスタッドレスタイヤの新製品の発売は3年ぶりで、「ミシュランX―アイススノー」は、〝X―アイス史上一番止まる。〟スタッドレスタイヤとして表現。新雪やミラーバーン、シャーベット路面だけなくドライ、ウエット路面、高速走行下での安定性など、日本のあらゆる冬道において性能を発揮する。8月11日より「冬用タイヤにおける〝ミシュラン・トータル・パフォーマンス〟の象徴」(ペリニオ社長)が日本のスタッドレスタイヤ市場に登場する。サイズは14~22㌅の計84サイズで、価格はオープン価格。

冒頭、あいさつに立ったペリニオ社長は「冬道の運転では時期、地域や場所そして時間帯によってさまざまな路面環境に遭遇する。今回当社では、冬季における使用環境とユーザーニーズを徹底的に分析し、多くの人々がどんな路面環境でも〝より安全に移動できる〟よう多機能でそれぞれの機能を高いレベルで発揮できるスタッドレスタイヤを開発した。当社の目的は性能の優れたタイヤを世に送り出すだけではなく、この新しいスタッドレスタイヤが移動目的だけでなく、一段と充実したビジネスや安心な日常生活、旅行やウインターレジャーなどといったユーザーの〝より良い体験〟に貢献できると願っている」と期待を示した。

ミシュランX―アイススノーの製品の開発コンセプトなどについて、同社PC/LTタイヤ事業部ブランド戦略マネージャーの黒谷繁希氏が解説。ミシュランでは1982年に日本で初めてスタッドレスタイヤを商品化し、日本の路面を徹底的に分析し数々の進化を遂げてきた。冬道を知り尽くした同社としては、アイスバーンが最も危険な路面状況であり、それへの危険回避へのニーズが高いドライバー心理をくみ取った上で、ステアリングに伝わる感覚、腰砕け感の解消などによって実際の性能だけでなく、ドライバーの心の奥深くに潜んでいる心理状態にも踏み込んだ性能の追求にまい進した。「性能を信頼した上で、降雪地のどのような路面でも心の動揺を誘わないようなレベルに仕上げた」(黒谷マネージャー)。

新製品の機能面については、同社製品開発本部新製品開発部シニアエンジニアの池田聡氏が行った。冬の路面の状態は、その時期や時間帯により大きく変化する。自動車の運転では日常的に慎重な運転が求められる上、長距離運転においては、時間帯や地域差といった要素も加わり、さまざまな路面環境に遭遇。こうした環境で使用される冬用タイヤには高水準で多彩な性能が必要。滑りやすい凍結路面でのブレーキング性能や操縦安定性などのアイス性能、降雪時の雪上路面での駆動力や走破性、融雪後のウエット路面や非降雪時におけるドライ路面でのグリップ性能など広範囲にわたる。新製品は日本の冬季路面を時期や地域、時間帯などあらゆる角度から分析し、想定されるすべての路面環境下において高いレベルの性能を発揮できるスタッドレスタイヤとして開発された。その性能は装着初期だけでなく、履き替え時まで長く続くようにコンパウンドや溝形状、サイプの深さや数などを全面改良、安全性だけでなく経済性にも貢献できるよう設計されている。

採用技術は、新開発の〝エバー・ウインター・グリップ・コンパウンド〟を採用。剛性の高いポリマーベースの材質をコンパウンドに配合し、ベースコンパウンドとの摩耗差により微小な凹凸を生成することでエッジ効果と水膜を破って接地するアイスグリップ性能を高める。雪上では雪を踏み固めて蹴り出す力である雪踏み効果を発揮。摩耗しても接地面の凹凸が再生され続けることから高い性能が長続きする。新世代〝Vシェイプトレッドパターン〟の採用によってサイプの長さを従来品より28%増加することで、エッジ効果を強化。アイスグリップ性能に貢献しながら新トレッドパターンデザインにより増加したボイドレシオがシャーベット路面やウエット路面で効率よく雪や水を排出し、安定したグリップを発揮する。〝VTSサイプ〟が倒れ込みを防止することで接地面を確保するアイスグリップを発揮しながら、厚みのあるサイプが雪上にしっかり食い込むことで雪踏み効果を発揮する。〝NewクロスZサイプ〟が3Dサイプによる倒れ込みの防止により剛性を確保、さまざまな路面で安定したハンドリング性を実現する。接地面効果を最大化するとともにアイス路面の水膜を除去し、アイスグリップに貢献。プラットフォームより深く刻まれたフルデプスサイプテクノロジーが履き替え時までトレッドパターンを維持し、ブレーキング性能の持続に貢献する。エバー・ウインター・グリップ・コンパウンドを溝底部まで採用することでスタッドレスの使用限界末期(50%摩耗)になっても、トレッドブロックがしなやかさを保つことで、アイス性能が長期間継続する。

商品説明後、自動車研究家である山本シンヤ氏を招いてトークセッションが行われた。山本氏は新製品の装着車両の乗り心地について「北海道の士別町で試乗したが、アイス性能はどれだけレベルアップしているかと期待したが、スノーもドライ性能も素晴らしかった。制動Gの高さは絶対的で、グリップの反応の良さ、その瞬間の感覚は以後の運転の安心感につながる。アイス路面でのブレーキ時にも雪を引っかいているという手ごたえがあり、実感できる性能として画期的だと思った。高速道路でもサマータイヤ並みの安心感があり、スタッドレスタイヤとしてだけてなく、冬のトータルバランスタイヤとして最高の出来に仕上がっている」と絶賛していた。