2020年10月5日

西部ゴム商組
中堅社員向け研修 オンラインで開催

臨場感あふれるムードで技量向上

西部工業用ゴム製品卸商業組合(岡浩史理事長)は9月25日、組合主催の人材育成事業として、オンライン研修の様式による中堅社員向け〝問題解決研修〟を今回初の試みとして開催した。一昨年の〝スリーシップ研修〟、昨年の〝ティーチング研修〟に続く第三弾で、講師は前回に引き続いて、社会人教育のエキスパートで、コンサルタント企業のインソースに依頼。当日はパソコン画面上に32人が顔を並べ、講義に耳を傾けるとともに、グルーピングによるパソコン画面上による現場さながらのレッスンを受けた。

今年になって新型コロナウイルス感染症のまん延により、行政による指導もあって集団による活動を自粛。商業や製造活動における各分野においては、2020年度のイベントなどの事業計画の見直しに迫られた。西部ゴム商組では「このままでは人材育成事業など、組合の事業がすべて実施できなくなってしまう」(岡理事長)といった危機感を募らせ、計画継続の方向性を模索。今回、リモートによるオンライン研修の開催に至った。初めての試みながら研修は問題なく進行、音声や映像も乱れることなく、実際に会場で参加しているようにスムーズに研修は行われた。

同組合の人材育成委員会の糸井宏之委員長は「今回は新型コロナウイルス感染症の影響によって延期していた研修会を、初めてリモートによって行うが、幅広い地域からご参加頂いた。皆さんの会社の業務もオンラインが主流になりつつあると思うが、当組合においても、オンラインを通じたセミナーや商品説明会を企画している。ぜひともよろしくご参加願いたい」と前置きした。

テーマは「問題解決研修~ビジネス上の問題を解決する」といった身近でありながら難題な項目で、内容としては①問題とは何か②問題解決の流れ③問題の発見④問題の整理⑤真因追求⑥解決策の策定といったフレームワークの中で講習は進行。講師は、問題という存在の定義として〝あるべき姿〟と〝現状〟とのギャップであるとして明確化し、そのギャップを埋める(縮める)ことが問題解決への道筋である点を指摘した。問題の本質の洗い出しとして、まずは自らの日ごろの問題をさまざまな視点から検討。複合的に発生している問題点の解決優先度を選別し、その尺度として「どれを解決すれば、会社のメリットになるか、あるいは顧客満足度の向上につながるかなど、目標を定めて一つずつ課題を解決していく」(講師)。

顕在化した問題に対しては、さまざまな視点から検討し、元凶を浮き彫りにする。代表的な視点として〝顧客〟〝業務〟〝人材〟〝費用〟〝組織環境〟〝他との比較〟の6つの項目を掲出。講師は実際の作業に向けて、参加者に対してグループシェアを組み、互いに考え合える時間を与えた。他のメンバーの考えを認識することで、自分にはなかった新たな考え方の〝気付き〟の糸口をつかむカリキュラムであり、一人より複数でシェアして考えた方が、正しい方向性に向きやすいというメソッドを駆使した。

顕在化された問題は複数の課題が絡み合っており、まずは解決する課題の優先度を明確化。判断軸としては〝重要度×緊急度〟といった2つの基準度で判断するように指示した。「そこには効率や作業密度、努力不足や経験値などさまざまな結論が出てくると思うが、これらを改善することで現状と理想とのギャップを詰めていくことができる」(同)。対症療法的で性急な行動を回避する目的から、原因を体系的に把握し分析する過程も重要。そのため、問題と要因との関連を整理して真因追求に取り掛かる必要がある。研修会ではその道具として特性要因図〝フィッシュボーン(魚の骨)〟を使用した。ミスが発生するまでの一連の背骨に対して、要因としてスキル、技術の伝承、人間の性質、環境、システムの問題などといったさまざまな可能性を、背骨の中心から横に突き出た魚の小骨のように書き出す。研修では、各自がフィッシュボーンを描くことによって要因究明のシミュレーションを実施した。参加者からは「なかなか小骨が出てこない」という声も聞かれたが、講師は「細かな部分はなかなか出てこないのが普通。やり方を変えるほか、いろいろと悩んでいるうちに事例が思い浮かんでくることもある。とにかく考えてみることが大切」とアドバイスした。

最終項目となる〝解決策の策定〟について講師は「まずは解決策を多く挙げる。少なければ視野が狭くなり、本当の解決策を取りこぼす可能性が大きくなる。ポイントとしては無理、無駄に至ってしまう結論を防ぎ、システムの改変やアウトソーシングの活用など、今まで想定したことがなかった視点を巡らせることで、可能性は広がってくる」と強調。「問題発見から解決までのストーリーづくりのノウハウを習得できるようになると、何が必要でだれが加わる必要性があるかが分かってくる。常に問題解決の方策を繰り出すことで、明日からの仕事に役立ててほしい」と述べ、研修会を締めくくった。