2020年10月5日

信越化学工業
業界初の成形用シリコーンゴム開発

ミラブル型でも二次加硫不要

信越化学工業(斉藤恭彦社長)は、シリコーンゴムにおいて市場で浸透している液状型に加え、ロールミルと呼ばれる混合機によって可塑化・混合されるゴム材料のミラブル型でも二次加硫を必要としない成形用シリコーンゴムを新たに開発した。二次加硫を必要としないミラブル型のシリコーンゴムは、業界では初めて。同社が長年培ってきた独自の技術によって開発に成功した。

ミラブル型シリコーンゴムは、従来の成形方法では、一次加硫を行って成形した後、成形品に残存している低分子シロキサンと、ゴム成形に使用する加硫剤の分解物を除去する必要があり、二次加硫が不可欠。今回開発された新製品は、従来品に比べ低分子シロキサンの含有量を大幅に低減し、一次加硫時に副生成物が発生しない付加反応型にしたことにより、二次加硫の工程を不要にした。そのため新製品は、成形メーカーの生産性の向上と省エネルギーに貢献するだけでなく、成形品への異物付着の防止などのメリットが得られるものと期待されている。成形法についても押し出し、トランスファー、カレンダー、プレス、インジェクションなどのさまざまな成形方法に対応できる。

同社では、液状型のシリコーンゴムでは、既に二次加硫を必要としないLIMS(リキッド・インジェクション・モールディング・システム=液状シリコーンゴム射出成形システム)材料を、業界に先駆けて製品化しており、自動車部品を中心に幅広く採用されている。

同社では、2017年9月に、シリコーンゴム成形のテクニカルセンター「シンエツ・モールディング・テクニカルラボラトリー」を埼玉県東松山市に開設。同ラボラトリーには、ミラブルインジェクション成形機が設置されており、新製品を用いた成形の実演を行うことができる。同ラボラトリーでは、今後も顧客や新規ユーザーへのテクニカルサービスを充実させ、同社に寄せられる要望にこたえていく。

シリコーンゴムは耐熱性、耐寒性、耐候性、電気特性など、一般の有機系ゴムにはない数多くの優れた特性を発揮する。このため自動車、電気・電子機器、OA機器、家電製品、日用品など、幅広い用途に使用されている。同社では、優れた品質と技術力、そしてきめ細かな対応で、今後も多様化する市場のニーズにこたえていく。