2020年2月15日

リコー
固体型色素増感太陽電池モジュール

今月下旬から世界で初めて発売

リコー(山下良則社長執行役員)は、室内照明のような微弱な光においても高い発電性能を発揮する固体型色素増感太陽電池モジュール「リコーEH DSSCシリーズ」を、今月下旬から順次販売する。固体材料のみで構成されており、高い安全性と耐久性を実現。固体型色素増感太陽電池モジュールが発売されるのは世界でも今回が初めて。

これからのIoT社会では、モノに取り付けられた各種センサーの情報をインターネット経由で収集し、モノの状態や位置などを把握することによって快適な生活を実現する。今後はさまざまなモノにセンサーが搭載されることが予想されており、それらのセンサーを稼働させる自立型電源として、身の回りにある光や熱、振動などから発電するエネルギーハーベスト(環境発電)に対する注目が集まっている。中でも、太陽電池は光があれば発電できる場所を選ばないことから有望視されており、室内光でも良好な発電性能が得られる色素増感太陽電池への関心が高まっている。

リコーEH DSSCシリーズは、リコーが複合機の開発で培った有機感光体の技術を応用して開発したもので、電解液部分に有機感光体材料と類似した有機P型半導体をホール輸送層として用い、さらにその有機P型半導体を酸化チタン多孔質層に高充てんすることに成功。有機P型半導体と固体添加剤で構成されたホール輸送性材料を用いて固体型を実現した。これにより、液体型の太陽電池の持つ液漏れや腐食等の人的有害性のリスクを排除することで安全な活用を可能にした。

照度の低い室内光の波長にも反応する有機色素を選定することで、高い短絡電流密度(理論上の最大電流密度)を得ることに成功。電解質に液体であるヨウ素を用いる色素増感電池に比べて、より深いエネルギー準位を有する有機P型半導体を用いることによって、高い開放電圧(理論上の最大電圧)を得ることができた。さらに固体添加剤とデバイス構造を最適化することで発電ロスを抑えた。電流と電圧の性能向上と発電ロスの抑制により、高い発電性能を実現。オフィスのような明るい室内はもちろん、倉庫や工場など、照明から距離のあるような十分な明るさを確保できない場所でも、高効率の発電を可能にする。使用する機器の意匠性を優先し、色素を変えることによってモジュール自体の色を赤以外の色に変えることも可能。モジュール内に文字を表示することもできる。今後は、透明なシースルーのモジュール開発も進めることで、充電不要なスマートフォンなどの実現を目指していく。

新たに発売されるリコーEH DSSCシリーズでは「リコーEH DSSC5284」「同2832」「同1719」の3種類をラインアップ。このうち、一番大きなサイズの同5284は、大成(本社・名古屋市中村区、加藤憲司社長)ならびにデザインオフィスライン(本社・東京都渋谷区、宮内翔社長)によって昨年6月に発売されたバッテリー搭載型デスク「ループラインT1」に採用されている。リコーは、固体型の色素増感太陽電池モジュールそのものの提供を開始することにより、各種センシングデバイスや発光デバイス、スイッチなどの自立型電源としての活用を促し、広くIoT社会における電力供給に貢献することを目指す。価格はオープン価格で、リコーEH DSSC5284のサイズが52㍉×84㍉で発売日は2月下旬。同2832が28㍉×32㍉で4月下旬発売、同1719が17㍉×19㍉で3月下旬発売。