2020年2月25日

アシックス
「19年12月期決算説明会」開く

営業利益は5年ぶりの増益

アシックス(廣田康人社長)は2月14日、大阪市北区のヒルトン大阪において「2019年12月期決算説明会」を開催した。それによると売上高は前期比2・2%減の3780億5000万円、営業利益は同1・1%増の106億3400万円、経常利益は同15・3%増の101億100万円、当期純利益は同2・2%減の70億9700万円となった。為替の影響を除くと増収増益で、営業利益については5年ぶりの増益を果たした。Eコマースによる販売の成長が顕著で特に日本と中華圏が勢いを見せ、直販比率は30・4%に伸びた。

売り上げ面では、現地通貨ベースでパフォーマンスランニングおよびオニツカタイガーが好調に推移。その一方でアパレル・エクィップメントが低調であったことに加え、為替換算レートの影響を受けた(前年度の為替換算レートを適用した場合1・6%増)。営業利益はマーケティング投資を実行したが、前連結会計年度末に実施した事業構造改革の効果などにより、販売費及び一般管理費を同0・6%減の1690億4700万円と圧縮。経常利益は、営業外収益の増加および為替差損の大幅な減少などによって前期と比べて2ケタの伸びとなった。当期純利益については翌連結会計年度から適用予定の国内連結納税に伴い、繰延税金資産を計上したことなどが影響した。

カテゴリー別では、パフォーマンスランニングの売上高は同0・4%減の1701億5000万円、営業利益は同53・7%減の39億6400万円。売上高は日本、北米、オセアニア、南米が好調で米国は4年ぶりに増収となった。しかし、欧州が低調で為替換算レートの影響なども受けた。スポーツスタイルの売上高は同12・1%減の342億7200万円、営業損失は4億500万円(前年と同基準とした場合は営業損失700万円)。コアパフォーマンススポーツの売上高は日本、北米において好調に推移し、同1・4%増の417億3700万円、営業損失は13億3600万円(前年と同基準とした場合の営業損失は10億6900万円)。積極的なマーケティング投資を実行したことで増収となった。アパレル・エクィップメントの売上高は同13・3%減の392億2700万円となり、引き続き営業損失。オニツカタイガーの売上高は同6・3%増の455億9700万円、営業利益は同10・9%増の83億300万円。日本、東南・南アジア、韓国が好調に推移したことにより増収増益となった。

地域別では、日本地域の売上高は同2・3%増の1209億5000万円、セグメント利益は同21・3%増の48億9500万円。海外販売子会社向けシューズが好調であったことにより増収となり、原価率の改善などが効果を上げた。北米地域の売上高は同0・2%減の789億5900万円、セグメント損失については59億6900万円。積極的なマーケティング投資の実行などによる結果で、前年と同基準とした場合のセグメント損失は41億8100万円となる。パフォーマンスランニングとコアパフォーマンススポーツが好調で、パフォーマンスランニングは4年ぶりにプラスに転じた。欧州地域の売上高は同9・5%減の956億500万円、セグメント利益については同43・8%減の28億6600万円。今後の計画に基づいたマイナスであり、5%以上の成長を果たしている。パフォーマンスランニングおよびスポーツスタイルが伸び悩んだ。中華圏地域の売上高は同0・6%減の394億4800万円、セグメント利益は、中国本部の当期本格稼働および積極的なマーケティング投資の実行による販管費の増加などにより同13・7%減の53億9800万円。現地通貨ベースでパフォーマンスランニングおよびオニツカタイガーが好調に推移したことで増収した。なお、前年と同基準とした場合のセグメント利益は同13・4%減の54億1700万円となった。オセアニア地域の売上高は同4・6%増の184億4600万円、セグメント利益は同27・9%減の19億4400万円。パフォーマンスランニングが好調に推移したが、原価率の悪化が収益面を圧迫した。東南・南アジア地域の売上高は同18・8%増の113億400万円、セグメント利益は同20・0%減の7億8900万円。パフォーマンスランニングとオニツカタイガーが売り上げを伸ばしたが、積極的なマーケティング投資を実施したことで収益は減少した。

アシックスグループでは、19年に移行したカテゴリー基軸の経営管理体制の下、それぞれのカテゴリートップがコミットした目標の達成に向けてまい進。パフォーマンスランニングを中心とした将来成長に向けて「走行効率」「高反発」「スピード」のそれぞれをコンセプトとする新商品の発売によってすべてのランナーに向けたラインアップの拡充によって品ぞろえの強化を行う。経営の方向性としては「経営管理体制を着実に構築し、本社と販売会社の役割と権限を明確化し、本社主導に基づき戦略に基づく実行計画の可視化と販売会社への指示を行う。販売会社はダイレクションに基づき実行し、重要案件は本社が判断を下す」(廣田社長)。

今期については、売上高が前期比5・8%増の4000億円、営業利益は同15・4%減の90億円、経常利益は同20・8%減の80億円、当期純利益は同43・6%減の40億円を見込んでいる。この中にはマーケティング費用200億円、オリンピック・パラリンピックに貢献するコストとして55億円が調整額として含まれている。