2020年1月10日

三ツ星ベルト
インタビュー

屋台骨を一段と強化
新しいトライアルを積極的に推進

三ツ星ベルト 垣内 一社長

【昨年を振り返って】
 昨年創業100周年を迎え、100周年記念式典を開催し、周囲に感謝の気持ちを示すことができた。また、世界代理店会議も開催し、さまざまな分野で当社の製品が使用され、社会や経済の発展にグローバルに貢献している状況が確認できる機会を設けることができた。記念式典開催後に、国内および海外代理店を京都に招待し、由緒正しい日本の伝統文化に触れてもらい、互いの懇親を深めることもでき、全体の一体感がさらに強まった。創業101年目を迎える今年からの活動が大切なものと改めて認識し、現状に満足することなく少しずつでも変革を進めていく必要がある。当社としてはベルト事業という屋台骨を一段と強化しながら、その他の柱についても強じん化を図っていかなければならないと考えている。

【変革に向けての概要について】
 2020年3月期の第2四半期の業績は、増収減益となり、まずまずの状況で折り返すことができた。建設資材分野で、大口物件の受注を受けたことによって増収となったが、人件費や原材料費、物流費の高騰によって、減益となった。通期の見通しとしては、国内が伸び悩んでいるものの、海外は好調なレベルで推移しており、今期は中期経営計画の最終年度でもあることから、計画で掲げている売上高700億円、経常利益ならびに営業利益78億円の達成も視野に入れたい。自動車分野においては、エンジン用以外の用途展開として、EPS(電動パワーステアリング)や、EPB(電動パーキングブレーキ)の採用実績を増やしながら二輪車用、農業機械用の分野での販売活動を進めていく。一方、米国における当社のベルトの大きな需要の担い手であるスノーモービルやATV(4輪バギー)についても市場のすそ野を広げ、着実に業績を高めていく。また、海外の農業機械用ベルトは大型サイズのものが使用されていることも多く、現地において実績を積み重ねながらマーケットの取り込みを図っていく。

【投資計画については】
 来期は30億~40億円を計画している。試験機や生産設備は、計画を立てて早めに更新し、順次入れ替えていく。開発力や技術力、生産効率の向上が図られるほか、生産ラインのレイアウトを変更する取り組みなどによって、効率的で働きやすい作業環境をつくり上げる。海外売上高比率は47%程度で推移しているが、人材育成の一環として海外からスタッフを日本に受け入れ、現地でメンテナンスまでこなせるようなスキルを備えた人材に育て上げることで、現地でのポテンシャルを高める。

【国内市場における取り組みは】
 自動車分野は新車の販売台数に影響される背景がある一方、補修市場の需要も見込めるため、重要な市場である位置付けには変わりない。自動車以外の一般産業市場である射出成形機分野や半導体製造装置、工作機械分野などの業界の動向などについても詳細に見ていく必要がある。

【今後の展望について】
 樹脂関連の事業も伸ばしていく方向で新しいトライアルを積極的に進めていく。新しい事業への挑戦は、従来のイメージや既成概念にとらわれることなく、柔軟な想像力が必要とされる。これには従業員個々の考え方のレベルを引き上げるという人材育成的な要素もあり、意識改革や組織内でのコミュニケーションの円滑化、一段と強い協力体制の構築といった、会社全体の質的向上を図ることによって、従業員全体のレベルを上げていき、新たな時代を迎える会社の体制づくりに取り組んでいきたい。