2020年3月5日

TOYO TIRE
北海道でスタッドレスタイヤ試走会

性能を実際に体感
オールシーズンタイヤ
安心感ある走り披露

TOYO TIRE(清水隆史社長)は2月21日、同社冬期タイヤテストコース(北海道常呂郡佐呂間町)において、メディアを招いての「スタッドレスタイヤ試走会」を開催した。

当日は、商品開発や商品企画の担当者はもとより清水社長をはじめ、光畑達雄取締役執行役員販売統括部門管掌・直需営業本部長、守屋学執行役員技術統括部門管掌、トーヨータイヤジャパンの山邊憲一社長ら同社幹部陣も参加。試走会に先立って、あいさつに立った清水社長は「この冬期タイヤテストコースは、販売面での取り組みとは一線を画す拠点。さまざまな知恵を集めて結実させた製品を実際に車両に装着して運転し、性能を点検・確認する現場であり、いわば最後の砦のようなタイヤづくりの聖域であるととらえている」と同テストコースの位置付けを示した。その上で「当社がスタッドレスタイヤの開発において、最も重視しているのがアイス性能であり、凍結した路面での制動をしっかりコントロールしていくことを冬タイヤ開発の根源として重点を置いている。また、アイス性能の進化はもちろんだが、刻々と変化する路面を想定してウエット性能の向上、さらに長期にわたって機能を発揮できるよう経年性能の維持にも力を入れている。今回の試走会では、スタッドレスタイヤとともにオールシーズンタイヤの性能も確かめて頂きたい。都市部などではスタッドレスタイヤを常時装着する必要が少ないものの、急な降雪に対して不安を感じているユーザーが多い。昨年8月に発売を開始したSUV車向けオールシーズンタイヤ『セルシアス』は、雪道でも安心して走行でき、通年での使用が可能なため、新たなマーケットを開拓できる新しいカテゴリーの製品として力を入れていく」と同社の冬タイヤの開発の姿勢と期待の新商品を紹介した。

引き続き、国内のタイヤ販売環境について光畑執行役員が説明に立ち、その後、REタイヤ開発部の島一郎部長とTBタイヤ開発部の山下兼一部長が今回試乗を行うセルシアスやスタッドレスタイヤの開発品などの概要を説明した。

近年の東京・名古屋・大阪における降雪量の傾向としては、雪が全く降らない年もあれば一転して大雪が降るケースも増えている。非降雪地のユーザーからはそういった急な降雪によって走行が不可能になる状況を回避したいという声が多く、同社ではオールシーズンタイヤの展開に力を入れている。圧雪路面から舗装路面まで高機能を発揮するタイヤとして、2015年より北米および欧州で販売していた製品の溝の高さ、コンパウンドの配合などを日本向けにアレンジして投入した。夏タイヤに必要なウエット性能と燃費性能を確保しながら雪道でも安心感のある走行を可能としており、欧州規定のシビアスノー要件を満たした証である「スノーフレークマーク」を刻印。高速道のチェーン規制にも対応しており、スノー性能ではスタッドレスタイヤに譲るものの、凍結路面以外の浅雪、圧雪路面、シャーベット状の雪道ではしっかりと走ることができる。

テストコースでの試走には、モータージャーナリストの五味康隆氏、斉藤聡氏、竹岡圭氏、橋本洋平氏、藤島知子氏の5名が試走ナビゲーターとして来場。試走に臨んだ報道関係者はナビゲーターのアドバイスを受けながら、パッセンジャーカー専用スタッドレスタイヤ「オブザーブ・ガリットギズ」やセルシアス、さらにはスタッドレスタイヤの開発品の走り心地と性能を体験することができた。特にオールシーズンタイヤの試乗で印象に残ったことは、発進もスムーズで、カーブでの走行も時速20㌔程度で進入すれば問題なく曲がることができた。直進圧雪路での時速4~60㌔の走行やレーンチェンジにおいても、安定した走行を維持。下り坂での停止も思いのほか短い制動距離で止まることができたが、やはりカーブでは慎重に減速して進入することが賢明なようだ。

テストコースのドーム内に設けられた氷盤路では、小型トラック用スタッドレスタイヤ「デルベックスM934」と開発品のアイス性能を比較するデモンストレーションも披露。また、オブザーブ・ガリットギズと開発中の乗用車向けスタッドレスタイヤの性能の違いも、竹岡氏がハンドルを握る車両に同乗して体験することができた。それぞれのタイヤを装着した車両で時速20㌔の走行からある地点でブレーキング。制動距離を氷盤路に置かれたパイロンを目印に比較したところ距離としてはわずかな差であっても、開発品の方が制動距離が短いことを確認した。ほかにもスラローム走行では操舵角を強く当てても、開発品はより鋭い反応が得られることを実感できた。