2020年3月5日

ダイセル
新素材をTBMと共同開発

プラ、紙の代替として

ダイセル(小河義美社長)は、TBM(本社・東京都中央区、山﨑敦義代表取締役CEO)と、酢酸セルロースと石灰石を組み合わせた新素材「海洋生分解性LIMEX(ライメックス)」(仮称)の開発を開始した。新素材は生分解性を有する酢酸セルロースと世界中に豊富に存在する石灰石を使用した革新的な材料として、将来的にプラスチックや紙の代替として生活のあらゆるシーンで活躍することを目指す。

酢酸セルロースは、植物由来のセルロースと天然に広く存在する酢酸を原料として製造されるプラスチック材料。生分解性を有し、最終的に水と二酸化炭素に生分解されるため環境に負荷を与えない。たい肥や土壌に加え、海洋中でも分解されることが確認されており、海洋プラスチックごみ問題の解決策となる可能性を秘めている。現在、各種プラスチックや液晶保護用などのフィルム、衣料用繊維などの原料として広く使用されている。

TBMは無機フィラー分散系の複合材料であるライメックスの開発・製造・販売を行うベンチャー企業。ライメックスは石灰石を主原料とし、プラスチックや紙の代替素材として使用されている。石灰石は世界各地で埋蔵量が豊富で、日本でも100%自給自足が可能で、価格安定性に優れた材料。ライメックスを利用することにより、原料に水や木材パルプを使用せず紙の代替製品(ストーンペーパーとは異なるライメックスシート)や、石油由来原料の使用量を抑えてプラスチック代替製品(ライメックスペレット)を製造することが可能である。

今回ダイセルとTBMの両社は、生分解性を有する酢酸セルロースと世界中に豊富に存在する石灰石を使用した新素材の海洋生分解性ライメックスの共同開発をスタートさせた。石灰石というサステナブルな原料を使用することにより、石油由来プラスチックの使用を避けることができ、環境負荷の軽減につながる。また、酢酸セルロースによって生分解性が加わり、たい肥や土壌だけでなく、海中でも速やかに生分解され、自然を汚さない。

両社は2020年度中の採用を目標に共同開発を進め、海洋プラスチックごみ問題の原因となっている飲食品容器や農漁業用品のほか、身の周りにある文房具やおもちゃなど、幅広い用途への採用を目指していく。

両社は今後、酢酸セルロースのほかにもダイセルの素材とTBMのライメックスおよび石灰石を組み合わせ、画期的な素材の開発に取り組んでいくとしている。