住友化学
廃プラを石油化学製品の原料に再利用
工業大学と共同で
ケミカルリサイクル技術
室蘭工業大学(空閑良壽学長)と住友化学(岩田圭一社長)は、廃プラスチックを化学的に分解し、プラスチックなどの石油化学製品の原料として再利用するケミカルリサイクル技術に関する共同研究(以下、本共同研究)を推進することとしたと発表した。
プラスチックはフードロスの削減や、自動車等の軽量化によるエネルギー効率の向上・環境負荷低減など、さまざまな社会課題の解決に貢献する有用な材料である一方、廃プラスチックの環境への排出量や化石資源である石油利用による温室効果ガスの増加が世界的に喫緊の課題となっている。これらの課題解決手法の一つとして、石油資源の代わりに廃プラスチックを原料として利用するケミカルリサイクル技術の社会実装が強く求められている中、室蘭工業大学大学院工学研究科の上道芳夫名誉教授、神田康晴准教授が開発したゼオライト触媒を用いた廃プラスチックを任意のモノマーへ高選択率で分解する技術(以下、本技術)は、ケミカルリサイクルを効率的に実現する手法として注目されている。
本共同研究では本技術をベースに、室蘭工業大学は、より性能を高めたプラスチック分解触媒の開発を行い、住友化学はこれまで培ってきた触媒設計や化学プロセス設計といったコア技術を生かして、室蘭工業大学が行う研究開発をサポートするとともにプラスチックの分解を最大限に促すためのプロセス技術の開発を担う。両者が相互に連携することによって、廃プラスチックを石油化学原料へ効率的に分解するケミカルリサイクル技術の早期の確立を目指す。
室蘭工業大学と住友化学は、本共同研究を通じて、ケミカルリサイクル技術による化石資源使用量と廃プラスチック排出量、さらに廃プラスチック焼却時に発生する温室効果ガス排出量の削減を実現し、持続可能な社会の構築に貢献していく。