2020年3月15日

フューチャーカラーマテリアルズ
世界初 温度検知ゲル開発

「サーモトラッカー」開発

化学ベンチャー企業のフューチャーカラーマテリアルズ(本社・千葉県柏市、鈴木希社長)は、0~20度、10~30度の2つの温度幅でグラデーションを伴った明りょうな色変化を示すゲル「サーモトラッカー」を開発した。商品ラインアップは0~20度の間で色変化するゲル「TT―20FC」(0~10度・青/10~15度・紫/15~20度・赤)、10~30度の間で色変化するゲル「同30FC」(10~20度・青/20~25度・紫/25~30度・赤)。

サーモトラッカーは同社の独自技術であるナノ分散テクノロジーにより、温度変化によって不可逆的に色相を変える特殊な色素をナノサイズ(1㍃㍍以下)まで微細化し、おむつなどに使われる汎用品の高分子ゲルに分散させた商品。大量生産が可能で、1個当たりの価格は100円以下になる見通し。

研究者の間で30年以上前から研究されてきた、刺激強度により色を青色から赤色に、中間色である紫色を経由しながら奇麗なグラデーションとともに変化する有機色素を、物質・材料研究機構において研究員を兼務する同社の鈴木社長が世界で初めて商品化。また従来取り扱いが困難であったこの有機色素をナノサイズで合成し、ゲル中に安定的に分散化させる技術で特許申請中。

同社が目指すのはサーモトラッカーによる、食品・医薬品の生産から消費まで一貫した個別商品管理システム。コールドチェーンにおける商品は、冷凍品(管理温度15度以下)、冷蔵品(同2~10度)、常温品(同10~20度)、バイオ医薬品(同2~8度)など、商品ごとに定められた温度帯での管理が求められるが、サーモトラッカーは冷凍品以外の冷蔵から常温帯での利用を見込んでいる。

さらにサーモトラッカーは成分の99%が水で構成されているため、安全性が高く、食品とともに使用することが可能。

食品や医薬品、一部化粧品は、適正温度から逸脱した温度の幅が大きく、その時間が長いほど劣化が進行する。サーモトラッカーも指定温度からの逸脱した温度幅が大きいほど色変化が激しく、逸脱時間が長いほど全体に均一に色変化が起こる。このため、例えば商品を出荷する際、梱包材の中に一緒に入れることで、その後の温度履歴を色変化の度合いによって簡単に知ることができる。商品の配送単位は、生産者から消費者に輸送される過程で大型トラックやコンテナ単位から梱包箱、個別商品と少量化していく。従来、商品の温度管理は高価なセンサー付き記録機を用い、大型トラックやコンテナなどを単位として限定的に実施されているが、サーモトラッカーは個別の商品に対して安価に付与することができるため、生産者から消費者までの一貫した温度管理を実現する。

現在同社ではサーモトラッカーを用いた実証実験に協力するメーカーを募集している。食品、医薬品、化粧品メーカーにも興味のあるメーカーにはサーモトラッカーのサンプル品が提供される。サンプル品の希望または同技術に関する問い合わせは同社(電話080・3215・8727、メールsuzuki_n@fcm-c.com)まで。