日本ゼオン
2021年3月期第1四半期決算 電子材料、化学品増収増益を達成
医療用手袋向け販売堅調
日本ゼオン(田中公章社長)は31日、決算説明会を音声ライブ配信によって行った。説明者は、同社の松浦一慶取締役執行役員で、説明によると当期の売上高は前年同期比15・7%減の694億9200万円、営業利益は同48・2%減の43億1000万円、経常利益は同41・5%減の50億6900万円、四半期純利益は同41・0%減の35億7600万円となった。新型コロナウイルスの感染症拡大による経済悪化、市況軟化を受けたことで、売上高は前期比で129億円の減収、営業利益は40億円の減益に見舞われた。ただし原料調達、生産への影響はなかった。
セグメント別では、エラストマー素材事業部門の売上高は同21・2%減の371億400万円、営業損失は1億1700万円(前年同期は35億400万円の利益)。合成ゴム関連では、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済悪化の影響を受け、主要市場である自動車産業向けをはじめとする一般工業品用途向けも大幅に落ち込んだことで国内・輸出・海外子会社とも低調に推移した。合成ラテックス関連では、新型コロナウイルスの感染拡大により医療用手袋向けは販売が堅調に推移したが、化粧品材料や一般工業品用途などにおける大幅な需要減に加え、原料動向に連動した価格下落により伸び悩んだ。化成品関連では、接着剤用途向けを中心に新型コロナウイルスの影響を受けて需要が低迷し、世界的な市況の軟化と相まって、売上高、営業利益ともに減速した。同セグメントにおける営業利益における損益差異要因は、数量差で13億円、価格差で32億円(原料価格に連動し単価下落、市況低迷)、為替差損によって4億円、その他要因で1億円の減益が生じたが、原価差で5億円(原料価格下落効果で28億円の収益、減産による製造固定費増による23億円の支出増)、販管費減により8億円のプラス効果があったものの、損失は改善できなかった。
高機能材料事業部門の売上高は同0・4%増の223億4500万円、営業利益は同4・8%減の48億1400万円。高機能樹脂関連では、光学樹脂、光学フィルムともに新型コロナウイルスの影響は軽微だったものの、高機能樹脂全体では売上高、営業利益ともに前年同期を下回った。高機能ケミカル関連では、新型コロナウイルスの影響を受けてトナーおよび電池材料は売上高、営業利益ともに前年同期の実績に及ばなかった。電子材料および化学品は売上高、営業利益ともに前年同期を上回った。同セグメントにおける営業利益における損益要因は、数量差で1億円、原価差で4億円(原料価格下落、製造固定費減)の増益があったが、販管費差で4億円(光学フィルムの開発試作関連費の増加)、価格差によって2億円、為替差損が生じたことで2億円の減益があった。
その他の事業部門全体の売上高は同22・2%減の105億5900万円、営業利益は同43・1%減の2億2200万円。その他の事業においては、新型コロナウイルスの影響により、子会社である商事部門ならびにRIM事業が落ち込み、売上高が前年同期を下回った。
通期の連結業績予想および配当予想については、現時点での合理的な業績予想の算定が困難なことにより、未定とした。算定が可能となった時点で速やかに公表される。