日本ゼオン
新タイプのCOPを上市
耐熱性が大幅に向上
新たな応用展開に期待
日本ゼオン(田中公章社長)は、結晶性(立体規則性)を付与した新たなタイプのシクロオレフィンポリマー(以下、COP)「ZEONEX(ゼオネックス)C2420」を上市し、このほど生産を開始した。これまでのCOPにない機能を有することから、新しいアイテムへの応用展開が期待される。
COPは一般に非晶性の構造を持っているが、今回発売となったゼオネックスC2420は結晶性を付与したことによって、従来のCOPが持つ低吸水性、低誘電率・低誘電正接を維持しながら、これまでにない耐熱性、耐薬品性、耐屈曲性を有している。
具体的な特性については従来のCOPは非晶性のため、ガラス転移温度163度程度が上限であったが、本製品は結晶性を付与したことで、耐熱性(融点265度)が大幅に向上している。また、従来品は炭化水素系溶剤への耐性が劣っているのに対し、ゼオネックスC2420は炭化水素系溶剤への耐性を備えている。さらに、従来品では2万5000回で割れが生じる屈曲試験において、20万回以上にも耐えうるなど、耐屈曲性にも非常に優れている。
COPは、主にカメラレンズやディスプレイ用フィルムなどの光学用途、シリンジやマイクロ流路チップなどの医療バイオ用途の材料として使用されているが、ゼオネックスC2420の持つ新たな特性はフィルム回路基板やフィルムコンデンサなど、エレクトロニクス用途を中心とする新たな領域への展開を可能にするものとされている。
ゼオングループはこれからも革新的な独自技術により、COPの可能性をさらに追求していくとしている。