住友理工
ドライバーモニタリングシステム プロトタイプが完成
今夏から企業向けモニター販売
住友理工(清水和志社長)は、自動車(トラック、バスを含む)など各種モビリティが走行する際の振動環境下でも、座るだけでバイタル(心拍・呼吸)、体動情報などの情報を取得できる「ドライバーモニタリングシステム」の開発を進めてきたが、シートに設置できるプロトタイプがこのほど完成したことを発表した。
自動車業界では現在、カメラやレーダーなどによって走行時の安全性や快適性を高める研究開発が盛んに行われている。これらに加え、走行中に発生する振動環境下においても、乗員のバイタルデータが計測できる本製品を使用することで、人々の安全な移動に、より一層貢献できると同社では考えている。特に、乗員自身が気づかないような心拍や呼吸の微細な動きをセンサーでとらえることができるため、システムを通じて乗員の体調変化にいち早く気づくことにつながり、乗員の健康管理や交通事故の未然防止など、さまざまなサービスへの応用が期待される。
本製品は、同社独自開発の柔軟で電気を通す特殊なゴム材料「スマートラバー(SR)」を用いたセンサー。シートに設置するだけで、座面に伝わる微弱な振動を検知し、独自のアルゴリズムで心拍数や呼吸数、体動情報を推定することが可能。スマートフォンや各種ゲートウェイなどを介して通信することで、クラウド上で状態推定解析を行うことが可能なアプリケーションやサービスへの活用を想定している。
これまで自動車走行中は路面やエンジンからの振動が大きく、心拍数や呼吸数を推定するのは困難であった。同社では100人以上の被験者の協力により、実車評価を延べ5000㌔㍍以上実施。アルゴリズムの改善を繰り返すことによって、心拍数、呼吸数の推定精度が格段に向上した(悪路など、異常時を除く)。
現在、「先進安全自動車(ASV)技術の実用化による交通事故削減に向けたガイドライン」などの策定が推進されており、乗員状態検知の重要性が高まる中、本製品は座るだけで乗員のバイタルデータを取得できるのが特長となっている。
将来的には眠気を感知した際にアラートを出したり、異常時対応システムに発展させたりすることで、安全性向上につなげる。さらに、バスやトラック、タクシーなどの事業者による安全な運行管理にも寄与できるのではないかと考えており、協業なども視野に、本製品のさらなる発展・開発を推し進めていく。
今回開発されたプロトタイプは、5月26日から横浜市西区のパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2021横浜」に出展を行うとともに、今夏から企業向けのモニター販売も予定されている。
【プロトタイプ概要】
▽寸法 = 縦600㎜×横375㎜(付属部を除く)
▽厚み(着座部)= 約35㎜
▽出力データ(推定値)= 心拍数・呼吸数・体動情報
▽通信規格 = Bluetooth Low―energy
▽電源 = 車内シガーソケットなど(5V、2・4A以上)