日本ゴム工業会創立70周年
6月25日に記念式典、節目祝う
日本ゴム工業会(池田育嗣会長)は6月25日、東京都千代田区の経団連会館において2021年度定時総会を開催し、総会終了後には新型コロナウイルスの感染拡大によって開催が延期となっていた「創立70周年記念式典」も執り行われた。社会情勢に応じて式典後の懇親パーティー開催は見送られたが、会員、関連団体など、リモートによる参加を含めた約70名の出席者が感染対策に配慮された会場で同会の大きな節目を祝った。
冒頭、池田会長は「当初は昨年10月の開催予定であった創立70周年記念式典は、コロナによる影響で延期となっていたが、開催規模の縮小は余儀なくされたものの、本日ここに開催できることをうれしく思っている。当会は昨年7月20日をもって創立70周年を迎えた。戦後5年目のいまだ混乱の残る1950年、経済統制が解除された年に恒久的な主要団体として産声を上げた。以来、ゴム工業は日本経済の発展とともに成長を遂げてきたが、オイルショックやリーマンショックなど幾多の苦難にさらされ、決して平たんな道のりばかりではなかった。しかしながら、時代時代の先輩をはじめ皆様の知恵と勇気と行動力に支えられ、困難を乗り越えながら成長し、今日という日がある。
近年においてはSDGsへの対応が大きな課題であり、自動車産業もCASEという言葉に表される“100年に一度”と言われる大変革期を迎えている。ゴム産業もこれに追随して変容を迫られているが、業界を挙げてカーボンニュートラルの実現など、真しな取り組みを進めて参りたい。これまで経験したことのないような大きな変化が押し寄せているものの、一方でわれわれの考え方や取り組み次第では、会員各社ひいてはゴム産業全体に大いなる恩恵を与えてくれるととらえている。当会は2014年に一般社団法人へと移行して新たなスタートを切ったが、今一度ゴム工業の発展に資する調査・研究と対策の推進に尽力し、本来の使命に立ち返りながら未来に向かってまい進していきたい」と、これまでの同会の歴史を振り返りながらあいさつした。
引き続き、来賓の経済産業省製造産業局の藤木俊光局長が祝辞を述べ、藤木局長はあいさつの中で「日本ゴム工業会様は1950年の設立以来、70年の長きにわたりゴム製品の製造技術の向上、品質管理、人材育成などさまざまな取り組みを推進されてきた。近年においては、標準化の分野で精力的な活動を展開されており、同会に事務局を務めて頂いているほか、ISOのゴム製品分野において6年連続の標準化事業表彰を受賞されている。ほかにも国際的な人材育成に向けた取り組みでは、03~07年にかけてミャンマーの天然ゴム加工産業品質向上のため、日本ゴムトレーディング協会の協力の下、専門家派遣事業を実施して頂いた。この支援によってミャンマーのゴム協会がIRAの認証を取得するなど、グローバルに大きな成果を上げていることは記憶に新しい。このように多方面で活躍されている同会に心から敬意を表する。これからもゴム工業会の皆様と経済産業省は手を携えながら未来に挑戦していく決意である」と同会の今後に大きな期待を寄せた。
その後、永年在任役員(40年以上)の表彰が行われ、2020年度の叙勲・褒章受章者の祝賀も行われた。永年在任役員表彰では、東海興業ホールディングスの木村勝昭取締役名誉会長を長年の功績をたたえて表彰。リモートにより出席していた木村名誉会長は映像を通して感謝の言葉を述べ、会場では事務局から感謝状が披露された。
また20年度の叙勲・褒章受章者として春の旭日双光章を受章した早川ゴムの早川雅則取締役会長に池田会長より記念品が手渡された。同年春の藍綬褒章受章の豊田合成・荒島正元取締役社長は都合により出席がかなわなかったため、後日記念品が贈られる。
受章者を代表して謝辞を述べた早川ゴムの早川会長は「この度叙勲の栄に俗したのは、広島県労働委員会の使用者委員として12年にわたり労使紛争の解決に取り組んできたことに対するものです。労使間の紛争は双方のコミュニケーション不足によるものが多く見受けられ、改めてそれを学ぶことができた。皆様の会社におかれても(労使間の)コミュニケーションを十分に図り、どうか良好な関係の維持に努めて頂きたい」と自らの経験を語り、参加者への感謝の気持ちを表した。