2022年1月5日

新春トップインタビュー
フォルボ・ジークリング・ジャパン

一層のスピード感と柔軟性
全社一丸で再成長に挑戦

【昨年を振り返って】
2021年12月期の業績については、売上高は前年実績比で108%となり、計画に対しては若干の未達となったものの、増収増益で着地すると見込んでいる。前年度(2021年度)は新型コロナの影響によって、一部の分野では需要の減少に見舞われた。フォルボ・グループのグローバル戦略において、21年は19年の水準にまず戻し、22年から再成長に向けて躍進するという方針を打ち出しており、日本法人である当社もその戦略に沿って活動を行ってきた。8月以降は緩やかな回復基調に乗り、単月予算を上回る勢いで売り上げが順調に推移した。その結果、まず21年前半の落ち込んだマイナス分を取り戻すとともに、19年度の実績に売上高を戻すという目標は、ほぼ達成することができ、日本の組織にコロナ耐性があることも示すことができたと考えている。いまだに一部に新型コロナによる影響が残る市場環境であるが、今年は一層スピード感と柔軟性をもって業務の遂行にあたるため、これまで以上に気持ちを引き締めて臨みたい。

【需要分野ごとの状況と今後の展望は】
当社が樹脂搬送ベルト事業を展開する業界は食品分野、工業分野、物流分野がメーンとなるが、食品分野と工業分野は回復が遅れている。食品についてはインバウンド需要の減少によって、大きな打撃を受けているお客様もまだ多く、コロナ禍以前の水準に戻るまでにはまだ時間を要するものと見ている。現状では食品分野の中でも好況が続く日常食品を中心に拡販活動を推進しているが、お土産物やギフトなどのインバウンド需要の落ち込みをカバーするまでには至っていない。一方で、一昨年6月から施行された改正食品衛生法への対応も後押しとなり、戦略商品に位置付けている「Prosan」をはじめとしたHACCPコンセプトをサポートする製品を中心に食品分野のユーザーへの販売は着実に進展しつつある。製品ラインアップを拡大していくことで食品分野全体の底上げにつなげていきたい。また工業分野においても、自動車産業は半導体などのサプライチェーン問題による減産の影響を受けて昨年はベルトの販売が振るわなかったが、今年は自動車生産の回復に伴ってベルトの需要も活性化していくと見通している。自動車関連は市場の動向を注視しながら、代理店と協力して拡販を進めていきたい。

食品と並んでもう一つの主軸を担う物流分野は、近年のeコマースの成長によって相変わらず活況を呈している。大手EC事業者を中心に物流施設向けの販売が好調を維持しており、今年は設備投資がさらに活発化していくと期待を掛けている。そのほかの分野では繊維業界向けが中国やアジア地域を中心に需要が回復し、良かった。昨年来、取り組みを強化している化学プラントにおける需要も引き続き掘り起こしに努める。

【現状の課題と対応について】
世界的なコロナ禍による経済の低迷後、現在は急速に需要が立ち上がってきたことで、需給バランスの崩れが招いた原材料のひっ迫と価格高騰が大きな懸念材料となっている。当社においても、これまでコスト増の吸収に向けた対策を講じてきたものの、自助努力で吸収できないところは価格転嫁もお願いするかもしれないと考えている。

新型コロナの感染・まん延防止に向けた取り組みについては、生産現場と営業職以外の間接部門はテレワーク、時差出勤などを暫時導入して業務を推進してきた。静岡工場では県外からの入場の規制、体温・体調の管理、手洗いの励行、スタッフ間のソーシャルディスタンスの確保など基本的な感染対策を徹底したことで、全社で感染者を出すことなくこれまで事業を継続することができた。緊急事態宣言の解除と感染者数の減少によって営業活動もより活発に行えるようになってきたものの、依然、県をまたいだ移動と訪問には慎重なお客様も多いので、対面による営業や打ち合わせは今後も感染防止に配慮しながら行っていく。

【デジタルツールを活用した社内外の取り組みについて】
社内においてはオンライン会議システムを既に導入しているが、昨年は代理店向けの「製品研修会」を初めてオンラインで開催した。全国から100名を超える参加があり、これまで参加しづらかった遠方の方も参加して頂けたことで開催した意義は非常に大きかった。これだけの規模の対外的なオンラインイベントはフォルボ・グループ全体でも初めての試みであり、今後も製品PRや製品知識を高めて頂く場として継続して実施していきたい。また、一昨年から社内コミュニケーションの一環として月に一度ライブ配信を実施している。月次業績報告や、社内外のさまざまなトピックスを紹介している。社長の〝生の声〟を発信することで、対面による意思の疎通が図りにくい環境下、コンテンツに工夫を凝らしながら全社的な意思統一に役立てていきたいと考えている。

【さらなる拡大を目指す注力製品について】
昨年、名古屋で開催された「FOOMA JAPAN2021(国際食品工業展)」においては、海外の規制にも適合するProsanの新製品を出展した。Prosanは昨年も年率で103%の着実な伸びを継続しており、優れた洗浄性や異物混入のリスクが低いなど、衛生面に特化した機能がユーザーから高い支持を集めている。また、ホモジニアスベルト(無心体ベルト)の試作品なども紹介した。

【新年の抱負を】
当社は製品を販売するだけではなく、トラブル発生時の対応をはじめ、さまざまなソリューションを提供していくことを信条としている。コロナ禍以降、情勢に応じた業務スタイルに移行してから、従来と比較して業務のスピードが改善したと感じている。これは対面による打ち合わせができない中でもオンラインツールを駆使して業務の継続に努めた結果、かえって社内外でのコミュニケーションの量が増え、緊密な体制が築けたことが奏効したと受け止めている。コロナ禍で緊張感が高まり、静岡工場のスタッフを含めて社員の責任感が以前より強くなったと頼もしく感じており、むしろピンチをチャンスに変えて次のステージに進むための足場固めができたと前向きにとらえている。改めて結果を生み出すのは社員一人ひとりの頑張りであると痛感しており、みぞうの災禍から得た教訓を糧に、全社が一丸となって再成長に挑戦していきたい。